レッドアリオンと挑んだ安田記念は、残念ながら8着だった川須栄彦ジョッキー。今回は、ご自身の最近の成績について語っていただきました。
(取材・文/大薮喬介)
昨年までは、勝ちたいという気持ちが強すぎました
――最近の成績ですが、少し伸び悩んでいるように思えるのですが、ご自身はどう感じていらっしゃいますか?
川須 成績が落ちてきているのは、自分でもわかっていました。それを感じるようになったのは、昨年の夏あたりからですね。若手もどんどんデビューしていますし、そちらにいい馬が回ってきているのもあると思います。僕も(若手の時に)いい馬に数多く乗せていただいた時期はありましたからね。あとは1番人気の馬に騎乗させていただいた時に、たまたま結果を出せなかったというのもあったと思います。そういったことを含めて、流れが悪かったのはありますね。
――勝ち星が減ると、気になったりはしませんか?
川須 う〜ん、確かに気になった時期はありましたね。でも、今は気にしていないです。自分でできることは限られていますし、競馬は毎週あるので、1鞍1鞍を平常心で乗ることが大事ですから。ある意味、一から出直すというか、いい意味で開き直ることができました。結果を求めるのではなくて、普段の調教もそうですし、競馬も1レースごとに一生懸命に騎乗して、トレーニングもする。心・技・体ではないですが、自分のすべきことをしっかりとやって、その後に結果がついてくればいいかなと思っています。
――そうなると、競馬の中身が大事になってきますね。
川須 そうですね。昔は勝っていても、内容に関してはしっくりきていないレースが多かったんです。今はチャンスのある馬に騎乗させていただいた時に、自分だけでなく周りからも納得していただけるような結果を出せるように、普段の生活からコンディションを整えるように心がけています。とはいっても、今の状況を打破するのは結果を出すのが一番ですよね。だから、内容にも結果にもこだわっていきたいです。実際、レッドアリオンで重賞を勝たせていただきましたし、流れはいい方向に向いているような気がしていますよ。
――昨年と今年では気持ちの面が違いますね。
川須 昨年までは、勝ちたいという気持ちが強すぎました。とにかく自分のためだけの競馬というか…。今は1頭の馬に携わっている方々のことも考えるようになりました。結果を出すのが一番いいんですが、最悪でも次につながる競馬ができるように、と思って競馬をしていますね。
――騎乗技術はいかがですか? 昨年に比べると、騎乗フォームの姿勢が低くなっているほうに感じたんですが。
川須 騎乗フォームも、あまり気にしなくなりました。以前は結構気にしていたんですよ、どういった乗り方一番いいんだろうって。もちろん、理想のフォームはありますが、今はいい意味で考え過ぎないようになりましたね。
川須「理想のフォームはありますが、今はいい意味で考え過ぎないようになりましたね」
――なるほど。キシュトーークが始まった頃に比べると、ずいぶん大人になりましたね。
川須 大人になったというか、落ち着いてきました(笑)。
――私生活も落ち着いてきました?
川須 それはないです(笑)。仕事も遊びも全力主義ですから!
【次回のキシュトーークU25は!?】
心境の変化があった川須ジョッキー。レースに関する考え方も変わってきたようです。次回もその続きをお届けします!