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鞍上・武豊でサイレンススズカになれるか? 鞍上・ルメールは魔人ジーニーか? 鞍上・Mデムーロは……

  • 2015年06月11日(木) 12時00分


3連勝はできても、4連勝はなかなかできない。だから、東京新聞杯で4連勝を決めたヴァンセンヌは強いはずだから安田記念では狙えると書いたら、モーリスに4連勝を決められてしまった。とほほほほほほほほ…。

なんて思っていたら、先週末は世界的に連勝デーだったようで、そのことを応用できなかった自分自身にちょっとガッカリした。

アメリカではアメリカンファラオがベルモントSで7連勝目を決めて、三冠馬になった。
イギリスではゴールデンホーンがエプソムダービーを勝って、デビューから4連勝した。

どちらも6月6日(土)の出来事だから、時差はあっても当然安田記念までに情報は掴めていた。だけど、それをモーリスに連想させることはできなかった。
モーリスは出遅れると思い込んで疑わなかった。ああ〜そういう状況、世の中の流れみたいなものにもっと敏感でありたい。敏感青年隊でいたい………

などと言いすぎるとやっかいだ。
今週は先週以上にやっかいそうな元・連勝馬が出走するからだ。

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エイシンヒカリは1着か4着以下馬と決めつけていいか?
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エイシンヒカリはデビューから5連勝した。
やっかいなのは6連勝がかかったG3(チャレンジC)を9着に負けたことだ。
正直、G3までは勝つと思っていたから、ちょっとビックリした。しかも9着。惨敗だ。

なんだか一気に底が割れた感も出てきてしまった。
しかし、次走(前走)でまた勝った。どっこい踏ん張った。グランデッツァに詰めよられる勝ち方で強さはよくわからなかったけれど、勝った。土俵際で残った感じだ。

で、思う。
1着か惨敗。そういう類の馬か?

それが今週のエプソムCではっきりするような気がするけれど、自分は1着か惨敗と決めつけたくって、しょうがない。理由はその方が馬券を買う楽しみが増すからだ。

勝つと思えば、1着固定の馬券が買える。たとえ人気でも1着固定ならば馬券はそこそこ期待できる。
負けると思えば、馬券圏内から外して買える。人気があればあるほど圏外に敗れたときの期待は大きくなる。たとえ人気馬同士の組み合わせでもそれなりの配当が期待できそうで、ワクワクだ。

では今回はどうか?
エプソムCの過去を見ると、エイシンヒカリが勝つのは難しそうに思える。
87年ダイナフェアリー、88年ソウシンホウジュ以来、逃げ切った馬はいないからだ。
しかもあの頃はハンデ戦でもあった(別定戦になったのは96年から)。

5年前にシルポートが逃げて2着している。けれど、エイシンヒカリは1着か圏外という想定だから、そこは無視できる(言うまでもなく、この想定が間違っていたら身も蓋もないけど…!)。

この時期の東京1800を逃げ切るのは至難。
歴史に委ねるなら、それでおしまいだ。

ただ「データぶっ壊す指数」の高いディープインパクト産だ。
簡単に過去に委ねていいのだろうか?
左回りを心配する向きもあるけれど、自分にはアイルランドTは寄れてはいたけれど、イキイキと走っていたようにも思えた。

しかも別定戦になった96年以後、人気で逃げた馬は2人気だったビッグサンデー1頭しかいない(シルポートは3人気だった)。そのビッグサンデーは2着した。つまり1人気になろうかという強い馬が逃げたことはないとも言えるわけだ。
(ビッグサンデーは1人気になろうかという2人気ではなかった)
だから、まだわからない。

そもそもエプソムカップは人気馬をナイガシロにしにくいレースでもある。

過去10年
1人気成績 3-2-2-3
2人気成績 2-2-1-5
3人気成績 0-4-1-5
4人気成績 3-1-0-6

これを今年のメンバーにあてはめみると、こうなる。
(水曜お昼時点)

1人気 エイシンヒカリ 2.6
1人気 サトノアラジン 2.6
3人気 フルーキー   5.0
4人気 ディサイファ  5.9
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5人気 ダノンジェラート15.2

4人気まではっきりしている。予想の段階だけど、過去10年どおりの配列だ。
ちなみに1〜4人気の組み合わせでワンツーしたのは過去10年で7回もある。
歴史に委ねるなら、これでおしまいだ……ってまた歴史が出てきてしまった!

つまり、エイシンヒカリが勝つと思うなら、
エイシンヒカリから上記3頭に流すのは有効というわけだ。
逆にエイシンヒカリが負けると思えば、それは圏外を意味するわけだから、エイシン以外の上記3頭のボックスを買うのが有効というわけだ。

どちらがいいのかな?
そもそもエイシンヒカリと1人気を争っているサトノアラジンはどのくらい信用できるのかな?

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サトノアラジンにとってルメールはランプの魔人か?
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サトノアラジンはルメールが乗って2連勝中。
特に前走のモンゴル大統領賞では8枠18番からの差しきりで、強さを見せつけた感じだ。
サトノアラジンにとって、ルメールは魔法のランプから出て来た魔人ジーニーか?

にしてもエプソムCには前走モンゴルが多いな…ひーふーみー…登録だけで7頭もいるよ。
相撲かよ!

どうやらモンゴル大統領賞はメイSの替わりのようだ。
時期も距離もハンデ戦であることもいっしょだ。
去年はスピルバーグがメイSを勝って、休養を挟んでの3連勝を決めて、再び休養し、秋に復帰し、天皇賞秋をもぎ取った。

スピルバーグは3歳春までは重賞ではちょっと足りない感じだったけれど(共同通信杯3着、毎日杯3着、ダービー14着)、3歳秋から少しずつ力をつけて、4歳秋で実った馬だ。

サトノアラジンも同じような成長曲線を描いているかもしれない。
3歳春、いやこの馬の場合は3歳秋までは重賞ではちょっと足りない成績だった(東スポ杯5着、ラジオNIKKEI杯3着、共同通信杯3着、神戸新聞杯4着、菊花賞6着)。
4歳になって、条件戦&オープンを2着、1着、1着。なんだかスピルバーグを彷彿とさせる。

スピルバーグ  メイS  1人気1着 55キロ 12-14-14 上がり1位
サトノアラジン モンゴル 1人気1着 55キロ 16-14-12 上がり1位

サトノアラジンがスピルバーグと同じように成長しているのなら、ここも勝ち負けのはずだろう。
厩舎の話では、本質的にはマイラーともある。ならばなおさらここは勝ち負けしたいのではないか?

4歳 ダノンシャーク2着 マイルチャンピオンS1着
4歳 クラレント1着   安田記念3着
4歳 ジャスタウェイ2着 安田記念1着

最近は4歳で勝ち負けした馬がマイルのG1でも勝ち負けしている。
サトノアラジンにとっては将来を決める大事な1戦かもしれない。
いや、アラジンだけでなく、人気を分け合う2頭の4歳馬、どちらにとっても大切な1戦だろう。

逃げるエイシンヒカリ、差すサトノアラジン。
将来の横綱・大関を賭けた、実はけっこうな大一番かもしれない。
相撲かよ!

ここを勝って、マイルチャンピオンシップ出走か!?
うむ、ふつうに強い古馬のディープインパクト産牡馬が目指す道を歩むか!?

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エプソムカップ注目馬
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サンレイレーザー
ダノンジェラート

武豊はサイレンススズカに3歳暮れから騎乗し、1800を使いながら完成させていった。
ルメールは前記したようにサトノアラジンにとって魔人ジーニーかもしれない。
だからエイシンヒカリ、サトノアラジンの勝負はひじょうに気になる。
もちろん2頭には大きな敬意を表したいと思っている。
けれど馬券的には、サンレイとダノンの蹴たぐりが決まらないかとも思っている。

理由は、田辺も横山典も考えて騎乗するタイプだから。
田辺のサンレイレーザーは前に行ける馬であることを田辺がわかっている。
横山典はエイシンヒカリの騎乗経験がある。

二人とも、エイシンヒカリが直線に向いて、右へ寄れるのを待つような気がする。いや、待って欲しい。
で、空いた内を狙う作戦を立てるような気がする。いや、立てて欲しい。

番手に田辺、4、5番手に横山典。
そんな隊列。
エイシンヒカリは直線を大きく使うはずだから、2頭分は十分空くはず。
そこをちょいと蹴たぐって、2着か3着。それで十分だ。

ムード的にそろそろ横山の典さんは最後方ポツンをしそうだけど、それをしても今回は内が空くかもしれない。
エイシンヒカリには強い競馬をして欲しいと思う一方で、東京の直線を大きく使って欲しいとも願っている。

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マーメイドS注目馬
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パワースポット
イリュミナンス

パワースポットは前走モンゴル。
エプソムCにも登録しているけれど、こっちに出走するはずで、ならばそこそこ期待したくなる。
5年前に勝ったブライティアパルス、2年前に勝ったマルセリーナがどちらも前走メイSだったからだ。メイS組の好走率なら、エプソムCを上回る。

前走モンゴルはもう1頭メイショウスザンナもいるけれど、ここ数戦確実に最後は伸びて来ているパワースポットを上と見ている。
終わってみれば、東西ともに前走モンゴルじゃないか! 相撲かよ!(←本日3回目!満足です)
そんな着地だったりするといいなぁ。

イリュミナンスは岩田が先行させて持たせるシーンを想像して。

マーメイドSは例年、1人気。もしくはトップハンデの人魚を見て、危うそうだったら、それを喰らうクラーケン(大王イカ)を探すと決めているけれど、今年はバウンスシャッセがMデムーロ騎乗で、トップハンデ&1人気になりそう。トップハンデと1人気が重なる馬で好走した馬はいないけれど、Mデムーロだとわからない。以前、ウィリアムズさん鞍上で1人気と添い寝をして成功したことがあるからだ。

3年前にグルヴェイグが1人気で勝ったけれど、これはマーメイドSがハンデ戦になってから初めての1人気馬の1着だった。当時、鞍上のウィリアムズさんを南海の人魚と見立て、添い寝をするか、抗うかで悶々として、結局添い寝をすると決めて成功した。

今回はさらに好走例のない1人気&トップハンデ。
ならばMデムーロを地中海の人魚と見立てるべきだけど、今回はトップハンデでもある。人魚でかつクラーケンでもないと勝てないのではないか。

はたして、バウンスシャッセ&Mデムーロは人魚で、かつクラーケンなんだろうか?
わかりません。
わからないので、パワースポットとイリュミナンスの相手として、切らないようにはしようと思う。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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