今年は順調に勝ち星を伸ばしている井上ジョッキーですが、昨秋はスランプに陥っていました。その時の心境、そして救世主(?)となったトーセンナチュラルについて語っていただきます!
(取材・文/大薮喬介)
「同期の小崎だけには負けないぞ」と思っていました
――デビューした昨年は7勝していますが、9月28日を最後に勝つことができませんでした。この時期はどういう心境でしたか?
井上 正直、苦しかったです。今もまだまだですが、あの時はとくに周りが見えていなかった気がします。同期がどんどん勝っていたので、焦りもありましたし。
――これまでの中で、一番苦しかった時期だったんですね。
井上 そうですね。
――でも、今年はそのうっぷんを晴らす活躍ですよね。とくにトーセンナチュラルとの出会いは大きかったのでは?
井上 ええ、今年の初勝利でしたからね(1月17日の中京6R・3歳未勝利)。同期の小崎が乗っていたレッドサバス(3番人気)が人気になっていたので、“この馬だけには負けないぞ”という気持ちでした。
――そのレッドサバスは2着ですからね、思った通りだったわけですね。
井上 はい。あのレースは本当に上手くいきました。直線はスゴい脚を使ってくれましたし、強かったですね。
――しかも、単勝万馬券です! そういえば、2度目の単勝万馬券ということで、「3歳未勝利」、「芝コース」、「3戦目」、「距離変更」、「外々ぶん回しの強い競馬」とツイッターで共通点を挙げていましたね。分析好きなんですか?
井上 いやぁ、分析好きではないです(苦笑)。たまたま気づいただけですよ。
――トーセンナチュラルは、レース前から勝てると思っていたんですか?
井上 返し馬で持っていかれそうなくらい力強かったですし、単勝万馬券になるような馬ではないとは思いましたね。
――2度目の騎乗が、オープンのスイートピーSでした。
井上 道中は引っかかっていたんですが、展開がハマりましたね。あそこまでいったら勝ちたかったです…。
――ハナ差の2着でしたからね。ゴールした瞬間は勝ったと思いました?
井上 勝ったディープジュエリーの勢いがスゴかったので、差されたとわかりました。「来なくていいのに!」って思いましたよ(苦笑)。
――オークスは規定で(通算30勝に満たない騎手はGIに騎乗できない)、騎乗できませんでした。
井上 乗せていただきたかったんですが、ルールなので仕方ないですね。
――ただ結局、トーセンナチュラルはオークス前日に跛行で出走を取り消したんですよね。
井上 本当に残念でした。そういえば、いろいろな厩舎スタッフの方々に「お前が何かしたんだろぉ〜」って冗談を言われました(苦笑)。そんなわけないのに!(笑)
――そんな冗談を言い合えるということは、厩舎の方々に好かれているんですね。
井上 そう思っていただけると、ありがたいです。単にイジられているだけかもしれませんが(笑)。
「単にイジられているだけかもしれませんが(笑)」
【次回のキシュトーークU25は!?】
井上ジョッキーのインタビューも次回で最終回。ご自身が思う昨年と比べて成長した部分やセールスポイントなど、様々なことを聞いていきます。乞うご期待!