スマートフォン版へ

【若手の本音】中井裕二騎手(1)『先輩からの愛ある指摘“お前は宝の持ち腐れだ”』

  • 2016年11月02日(水) 18時00分
藤岡佑介騎手が「注目の若手騎手」に名前を挙げたことをきっかけに、今回再び中井裕二騎手にオファーしてみました


中井騎手2度目の登場です。前回は昨年の7月に、松山騎手と一緒に「ファンサービス委員会」について語っていただきました。今回、藤岡佑介騎手が「注目の若手騎手」に名前を挙げたことをきっかけに、再びのオファー。こちらが用意したトークテーマからご自身が「ぜひ話したい!」というものを選んで、思う存分語ってくれた中井騎手。「現在思うこと」「悩み」「今後のこと」…彼の本音とは!?
(取材・文/大薮喬介)


トークテーマ:藤岡佑介騎手のコメントに対して思うところ

――以前、出演していただいたことがありましたが、あの時は騎手クラブの「ファンサービス委員会」についてお聞きしたんですよね。今回はいくつかトークテーマを用意したので、中井騎手のことをじっくりお聞きしたいと思います。

中井 よろしくお願いします!

――では、中井騎手が話したいことを選んでください。

中井 気になるのは、「藤岡佑介騎手のコメントに対して思うところ」ですね。

――これはですね、藤岡騎手の連載コーナー「with佑」のファンイベントで、「確かな実力があり、乗り馬に恵まれれば一気にブレイクしそうな若手ジョッキーを教えてください」というファンからの質問に対して、藤岡騎手が「上手いと思うのは中井裕二」とおっしゃっていたんですよ。

中井 それは、素直に嬉しいですね。佑介さんは尊敬している騎手の1人ですし、何よりも一緒に乗っているジョッキーにおっしゃっていただけるのは、すごく励みになります。

――直接言われたことはあります?

キシュトーーク

「上手いと思うのは中井裕二」とおっしゃっていた藤岡佑介騎手から直接言われることも…


中井 何度かあります。「生き方が下手クソすぎる。宝の持ち腐れだ」って(苦笑)。そうおっしゃっていただいて嬉しいんですが、正直悔しいですよね。尊敬している人に褒めていただいているのに、どうしてこの位置にいるんだって…。

――現状の成績に思うところがあるわけですね。ちなみに、どのあたりが上手いと言われているんですか?

中井 具体的に言われたことはないんです。部分的なことなのか、全体的なことなのか、僕にもわからないんですよ。

――藤岡騎手から、そう言われるようになったのは最近のことですか?

中井 ここ1、2年だと思います。

――騎乗に関してご自身で取り組んでいることはあります?

中井 2年くらい前に、フィジカル面のトレーニングをガラッと変えました。自分の目指す騎乗スタイルを考えた時に、まずは身体の軸をしっかりさせないといけないと思って、主に体幹を鍛えています。今年くらいからですかね、ほんの少しずつですが、その効果が出てきて、自分でも納得のできるレースができるようになりました。

――具体的にどんなレースができるようになったんですか?

中井 馬に乗っていて、自分の考えていたことが少しずつできるようになったことですね。簡単に言えば、馬ハマりがよくなってきたんだと思います。それまでは“馬を動かす”ことを目的にトレーニングをしていたんですが、実際は頭の中で考えていても、身体が上手く動かなかったりしていたんです。それで、土台からやり直そうと。

――中井騎手の理想とする騎乗スタイルはどういったものなんですか?

中井 僕が理想としているジョッキーが4人いるのですが、その4人の良いところを合わせた感じです。

――その4人とは誰なんですか?

中井 馬に乗っている時のポジションやゲートは、武豊さんです。ゲートを出す技術やゲート内でのなだめ方などは本当にスゴいです。近くで見ているんですが、どうしてそれができるのかが、いまだにわかりませんから(苦笑)。あと、川田さんの道中でのポジショニングだったり、そのポジションを維持する技術も見習いたいです。佑介さんの馬に合わせて頑張らせたり、我慢させたりするところも真似したいですし、モレイラ騎手の重心の位置も参考にしています。

――その4人の長所を自分のモノにするには、体幹が必要なんですね。

中井 そうですね。これは僕の考えですが、騎乗時の身体の軸というのはゼロから作れるモノだとは思っていないんですよ。自分の持っているバランスなどの長所を見つけて、そこをトレーニングによって伸ばすことで、自分の身体的な欠点を補えるようにしたいんです。

キシュトーーク

自分の持っている長所を見つけて、そこをトレーニングによって伸ばすことで欠点を補えるようにしたいんです



――なるほど。話を聞いていると、騎乗時の重心の位置にこだわりがありそうですね。

中井 正解かどうかはわかりませんが、馬によって重心の位置は変えるようにしたいと思っています。とくに最近は自分が騎乗する場合、できる限り攻め馬に乗せていただいて、その馬にとって走りやすいポジションを探るようにしています。

――重心の位置を前に置く人もいれば、後ろに置く人もいますよね。その重心の位置というのは、どのくらい幅があるんですか?

中井 あくまでも僕の感覚ですが、かかとが動く範囲だと思います。前に重心を置きたい時はかかとを上げて、後ろに置きたい時はかかとを下げる。角度でいうと、15〜30度くらいですかね。

――そんなに狭い範囲で…。それを攻め馬で試しているんですか。

中井 そうですね。「このくらいの重心にすれば、馬が伸びやすいな」とかを考えながら、攻め馬に乗っています。ある時に「これが大事なことなんじゃないか」って気づいたわけですけど、それからです。あらためて馬乗りの面白さを知ったというか。だから、今すごく楽しくて仕方がないんです(笑)。
(文中敬称略、次回へつづく)

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング