▲右から北橋修二元調教師、福永騎手、福永裕美子氏(母)、翠夫人(撮影:下野雄規)
福永祐一騎手の引退特集。27年間のジョッキー生活をともにした仲間や、お世話になった師匠、陰で支えてこられたお母様など、縁の深い方々からのお手紙を紹介します。
祐一へ
祐一、調教師試験合格おめでとう。デビュー当時から「いつ辞めてもいいよ」と言い続けながら、気づけば27年。よく頑張りました。
あなたの父、福永洋一のジョッキー人生は、完結しないまま終わりを迎えました。きっと、周りのみなさんのなかでも完結していないがゆえ、そこにはずっと夢があるのでしょう。「元気だったら…」「今でも乗っていたら…」「お父さんだったらもっと…」。そんな“たられば”を聞くたびに、私はみなさんのなかにある“福永洋一”という夢の存在に気付かされたものです。
どこまで行っても超えることができないそんな夢の存在と、ずっと比べられてきた祐一。とてもつらかったでしょうね。ただ、それもあなたの宿命です。私が言うまでもなく、祐一なりにそれを宿命と受け止め、ここまで続けてきたのだろうと思います。
私は仕事のことを聞かないし、祐一は祐一で何も話さない。だから、本当のところはわからないけれど、さまざまなインタビューを見たり聞いたりしながら、「ああ、そうだったんだろうな」と想像していました。