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武豊騎手を前にして溢れた涙──「あの時、あえて豊さんと距離を取る選択をした」【福永祐一ロングインタビュー・前編】

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  • 2023年03月21日(火) 18時03分
yuichi

▲福永祐一ロングインタビュー(撮影:桂伸也)


2023年3月4日の阪神競馬場、福永祐一騎手の引退式が華やかに執り行われました。

縁の深い馬主の皆様や、川田騎手、和田騎手、武豊騎手から花束の贈呈。皆様から頂く心のこもった一言一言に、どんどんと胸が熱くなっていきました。涙が堪えられなくなったのは、武豊騎手を前にした時だったと言います。

長い間抱いてきた武豊騎手への思いとは、“3月4日”という日に両親に直接伝えたかった思いとは──引退式を終えて、特別な一日を振り返ります。

(取材・構成=不破由妃子)

父・洋一氏と同じ“3月4日”に騎手人生にピリオド


 2023年3月4日。

 JRAをはじめとする競馬関係者のみなさん、ジョッキー仲間、そして残ってくださったファンのみなさんのおかげで、素晴らしい景色を目に焼き付けることができた。

 チューリップ賞の誘導馬に騎乗するという、かつてない演出をしてもらったこと、その誘導馬がミツバだったこと、そして最後の「終わりなき旅」(Mr.Children)という選曲──。JRAの阪神競馬場の担当の方々が、本当に思いを込めて企画してくださった引退式であり、その愛情を存分に感じることができた幸せな時間だった。

 テレビを通して見守ってくださったファンの方々も含め、関わってくださったすべての人たちに感謝の気持ちが尽きません。この場を借りて、本当にありがとうございました。

 自分があの日に騎乗したミツバは、現役時代に三度騎乗したことがある馬で、なによりゴールデンジャックの孫。ゴールデンジャックと言えば、自分が初めて跨ったオープン馬であり、先代の小野森オーナーは、自分が一番下手なときに一番応援してくださったオーナーでもある。その息子さんである浩之さん(京都馬主協会副会長)から花束を渡されたときは、思わず当時の感情や情景がよみがえり、込み上げるものがあった。

yuichi

▲チューリップ賞の誘導馬に騎乗(c)netkeiba.com


 (武)豊さんから花束をもらったときは、どうにも堪えることができなかった。あのときの感情は、自分でも驚いたというか、改めて自分のなかで豊さんは大きな存在なんだと気づいた瞬間でもあった。

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1976年12月9日、滋賀県生まれ。父は元JRAジョッキーの福永洋一。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。2005年にシーザリオでアメリカンオークス制覇。2018年にワグネリアンで日本ダービーを初制覇。2020年にはコントレイルと無敗でのクラシック三冠を達成。2023年2月末でジョッキーを引退、調教師へと転向する。

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