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韓国遠征中!

  • 2012年04月18日(水) 18時00分
 4月中旬の時点で、韓国で騎乗している日本人騎手は全部で5人。ソウルでは野田誠騎手(福山)、上野翔騎手(JRA)の2人。釜山では山本茜騎手(愛知)、楢崎功祐騎手(福山)、安部幸夫騎手(愛知)の3人が奮闘している。

 ソウルにいる野田騎手は1月中旬の調教中に馬がいきなり横っ飛びして、騎乗している野田騎手がラチを飛び越えてしまったらしい。その事故によって2か月弱も休養となってしまったが、3月10日から戦線に復帰。4月8日には単勝6番人気(12頭立て)の馬で久々の勝利を挙げている。

 上野騎手は3月10日に韓国競馬デビューを果たし、最初のレースで12頭立ての6番人気馬で3着に健闘。そして3月31日に初勝利を挙げて4月14日に2勝目。4月15日終了時点で42戦2勝と、まずまずの成績となっている。ちなみに上野騎手は現地の調教師のバックアップを受けているらしいと聞いた。それでも60人ほどの騎手がひしめき合っているソウル競馬場だから、好成績を挙げるのはなかなか難しいことだろう。

 ちなみにソウル競馬場には韓国人のフリー騎手が12名いたが、2月1日付けで「短期免許以外のすべての騎手は、特定の厩舎に所属しなければならない」とルールが変わった。上位のフリー騎手ばかりに勝ち星が集中するのを緩和するのが目的らしいが、それでもリーディング上位の壁は薄くなりそうもない印象だ。

韓国で騎乗中の山本茜騎手

韓国で騎乗中の山本茜騎手

山本騎手チョイスのソルロンタン

山本騎手チョイスのソルロンタン

 一方の釜山では、昨年6月下旬から韓国生活をスタートさせた山本茜騎手が順調に勝ち星を積み重ねていて、4月15日終了時点で256戦41勝。勝率が16%で連対率が約30%という活躍ぶりだ。まだハングルには苦戦している様子だが、日々の生活はかなりエンジョイしている様子が窺えた。私が3月に釜山に突撃したときはソルロンタン専門店に行って「よくわからないけれど、これにしましょう!」と、気合と勢いで注文していた。でもやって来た鍋はとても美味だったからバッチグー。

 その鍋を一緒に囲んだのが福山から釜山に来たばかりの楢崎功祐騎手。3月7日に到着して、9日の午後には早くも「日本語が恋しいですね」と言うほどだったが、この生活には慣れてもらわないと仕方がない。釜山では九州のテレビとラジオが受信できるが、せっかく異国に来ているのだから日本と違うことを楽しむくらいでないと!

 といっても騎手という職業は、旅行する時間的余裕がほとんどないわけだから難しいか。楢崎騎手の海外渡航歴は「騎手会の旅行で行った香港と、あとソウルと……そんな感じです」とのことだったから、長期滞在の今回は日々のストレスもたまってしまいそうだ。しかも旅行じゃなくて仕事だものなあ。

楢崎功祐騎手も釜山に参戦

楢崎功祐騎手も釜山に参戦

 でも、馬との会話なら言葉が不要。3月23日には通算8戦目で韓国初勝利を果たし、4月15日終了時点で41戦5勝なら好成績といえるだろう。3着内率43.9%という数字も光っている。

 しかし両騎手に強敵出現。愛知の2000勝ジョッキー、安部幸夫騎手が4月6日から釜山で騎乗を開始したのだ。安部騎手も通算8戦目で初勝利。15日までの開催4日間で22鞍に乗るという人気ぶりで、こちらも3着内率45.5%と好成績。釜山の上位騎手の戦いは熾烈化している状況だ。

 韓国馬事会における「外国人への短期騎手免許制度」が、この先も維持されるのかはまったくわからない。しかし、日本の騎手が持つ高い騎乗技術と調教技術が現地のホースマンに伝われば、それは意義のある日韓交流となる。釜山へは博多港から高速艇で3時間。飛行機なら福岡空港から1時間だ。海外で奮闘するジャパニーズジョッキーに、ぜひ現地で声援を!

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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