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ハープスターの楽勝はない!?/優駿牝馬(オークス)

  • 2014年05月22日(木) 18時00分


■優駿牝馬(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】東京芝2400m Bコース使用

・コース回収率
 [低め] 単勝64%・複勝73% 堅実決着傾向が強めで、人気薄の1着狙いは難しい。

・馬連万馬券出現率
 [低め] 10.1%(平均値↓2.3% 馬連平均配当4353円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率10.0% 連対率14.0% 複勝率20.7% 複回率 81% 枠番値+0.2
 [4枠〜6枠] 勝率 3.3% 連対率10.7% 複勝率17.3% 複回率 66% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 4.1% 連対率 8.8% 複勝率12.8% 複回率 36% 枠番値-0.3
 →素直に内枠優勢・外枠劣勢。特に内枠の勝率の高さは目を見はるものがある。

・脚質別信頼度
 差し>先行>逃げ>追込 先行勢は3着以内シェア20%以下と完全に差し優勢

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 36.0-75.6-34.6=2.26.2 序盤〜中盤が緩く一気に加速する瞬発戦

 対象データ数が少ないので、今回は集計期間を2009年以降に拡張。コース回収率、馬連万馬券発生率、馬連平均配当と、いずれも指標も非常に低くなっている。つまりそれだけ、順当決着傾向が強いコースだということだ。

 何より気になるのが枠番である。東京芝マイルのG1で2週連続逃げ切り決着が起きたという事実はしっかり受け止めるべきで、先週のBコース替わりで内有利の傾向はさらに強まった印象。毎年のことではあるのだが、外枠からの差しや追い込みがそうそう決まるとは考えないほうがいい。実際にコースデータも、明らかに内枠有利なのである。

 また「内枠有利ではあるが先行優勢ではない」というのもポイント。脚質に関しては全コース中でもトップクラスといえるほどに差し優勢であり、外をブン回しての差しは決まらないが、内で距離損なく立ち回っての差しはズバズバ決まる。先行勢を1着で狙う馬券はかなり効率が悪く、馬券は中団のインでうまく立ち回れそうな馬から入りたい。

 牝馬戦でもあり、レースの流れは完全に瞬発力勝負。となれば、素直に末脚断然のハープスターから……といきたくなって当然だが、現在の馬場を考えるとそれほど話は簡単ではない。とくに外枠を引いた場合には、2着〜3着に取りこぼす可能性もあると考えておいたほうがいいはずだ。

【レース基本情報】優駿牝馬(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1178円 馬連1万25円 3連複2万4902円

・1番人気馬成績
 [3-1-1-5] 勝率30.0% 連対率40.0% 複勝率50.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-4-3-18] 勝率16.7% 連対率30.0% 複勝率40.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [6-4-7-43] 勝率10.0% 連対率16.7% 複勝率28.3%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-0-88] 勝率 0% 連対率 1.1% 複勝率 1.1%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 9.1% [先行] 0% [差し] 72.7% [追込] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 6.7% [差し] 76.7% [追込] 10.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 4-5-4-47 連対率15.0% 複勝率21.7% 枠番値-0.5
 [4枠〜6枠] 2-2-5-51 連対率 6.7% 複勝率15.0% 枠番値+0.4
 [7枠〜8枠] 5-2-1-51 連対率11.9% 複勝率13.6% 枠番値+0.1
 ──────────────────────────────
 [01番〜09番] 6-7-5-72 連対率14.4% 複勝率20.0% 枠番値-0.3
 [10番〜18番] 5-2-5-77 連対率 7.9% 複勝率13.5% 枠番値+0.3

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-3-4-71 連対率 6.3% 複勝率11.3%
 [栗東] 9-6-6-78 連対率15.2% 複勝率21.2%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 8-6-5-64 連対率16.9% 複勝率22.9%
 [芝1800m] 1-0-1-41 連対率 2.3% 複勝率 4.7%
 [芝2000m] 2-3-4-42 連対率 9.8% 複勝率17.6%
 [ダート戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 8-6-5-62 連対率17.3% 複勝率23.5%
 [中央G2] 1-3-4-30 連対率10.5% 複勝率21.1%
 [中央G3] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [OP特別] 2-0-1-38 連対率 4.9% 複勝率 7.3%
 [条件戦] 0-0-0-18 連対率 0% 複勝率 0%

・主要ステップ別成績
 [桜 花 賞] 8-6-5-59 連対率17.9% 複勝率24.4%
 [フローラS] 1-3-4-30 連対率10.5% 複勝率21.1%
 [スイートS] 1-0-1-28 連対率 3.3% 複勝率 6.7%
 [忘れな草賞] 1-0-0-10 連対率 9.1% 複勝率 9.4%
 [上記以外R] 0-0-0-22 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [買い] 前走桜花賞で2番人気以内(連対率50.0%、複勝率56.3%)
 [買い] 前走フローラSで1着(複勝率40.0%)
 [買い] 1枠〜3枠に入った桜花賞組(連対率26.7%、複勝率30.0%)
 [全滅] 前走で条件戦に出走(0-0-0-18)
 [不振] 前走3番人気以下(3-4-6-107)
 [不振] 前走桜花賞で6番人気以下かつ5着以下(0-0-1-30)
 [不振] 前走フローラSで3着以下(0-1-0-18)
 [不振] 騎手が乗り替わる馬(2-2-1-59)

 1番人気馬の成績は可もなく不可もなし。3番人気以内馬も[5-4-3-18]で連対率30.0%、複勝率40.0%と並以下であり、それほど人気サイドが信頼できるレースではない。驚きなのが4番人気〜9番人気馬の[6-4-7-43]という成績。中穴ゾーンがここまで強いG1も珍しく、積極的に買う価値アリなのは言うまでもない。

 続いて脚質だが、コースデータ分析でも述べたように、圧倒的に差し優勢。3着以内における逃げ・先行馬のシェアがトータルで13.4%しかないというのは、ちょっとした異常事態である。1着馬についても70%以上が差し脚質であり、先行勢軽視&中団待機組重視のスタンスが好結果を呼び込むのは確実だ。

 枠番についても、やはりコースデータと同じく「内>外」と考えてよさそう。単純に馬番1番〜9番と10番〜18番を比較しても、連対率ベースで6.5%もの大差が出ている。人気馬が内枠に偏っているという側面もあるのだが、それを考慮してもこの差はさすがに大きすぎる。ある程度は内のほうが有利と結論づけておきたい。

 桜花賞からのローテが圧倒的に強いのはよく知られているとおりで、多少なりともそれに対抗できているのがフローラS組。それ以外はデータ的には「ほぼ来ない」といっても過言ではなく、フローラS組にしても2着以内馬でないと勝ち負けには持ち込めない。ある意味、馬券の対象をかなり絞り込みやすいレースと言えるだろう。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週と同じくBコース。Aコース時よりもイン有利になった印象を受ける

・天候予測
 天候が崩れるとしても週明けから。良馬場前提でオーケー

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率18.0% 連対率25.8% 複勝率36.0%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ゼンノロブロイ産駒○、ハーツクライ産駒▲

 完全に「瞬発力型」のコース&馬場であるのが、成績上位種牡馬のラインナップからも見てとれる。当然ながら成績トップはディープインパクト産駒で、それに続くのがキングカメハメハ産駒、ゼンノロブロイ産駒など。もう、徹底的に「末脚のキレ」が出そうな血統を上位に評価すべきコースである。

 そういう観点から独断と偏見でチョイスすると、文句なしに「買い」なのが、唯一出走するディープインパクト産駒であるハープスター。さらに、母のベッラレイアがとんでもない末脚のキレを持っていたベッラレジーナや、日本でも有数の繁殖成績を誇るビワハイジの産駒であるサングレアル、チューリップ賞と桜花賞で連続して上がり順位3位であるヌーヴォレコルトも要注目といえそうだ。

★総論×各論

 筆者の体調不良という情けない理由で、執筆が豪快に遅れてしまった今週の当データ分析。いつも読んでくださっている読者諸兄に、まずは公開の遅延を深くお詫びする。既に枠番が決まっているので、今回はそのあたりも踏まえた上で、分析ならびに考察を進めていきたい。

 断然の1番人気に推されるのは、間違いなく桜花賞馬ハープスター。デビューからの5戦ですべて最速上がりを計時している上に、最大のライバルであるレッドリヴェールがダービーへ向かうとなると、ムード的には「勝って当然」となって当たり前。誰がどう見ても、いちばん強いのはこの馬だ。

 しかし、やはり気になるのが現在の馬場。距離が違うとはいえ、あれほど逃げ切りが決まらない東京芝1600mのG1で、2週連続で逃げた馬が勝ったという事実は、しっかり受け止めておく必要がある。2着〜3着馬にしても内を捌いて伸びてきた馬であり、最後方から大外をブン回して勝つというのは、おそらく至難の業である。

 断然の1番人気に推される馬がその至難の業をやる可能性がきわめて高いわけで、これはイメージ以上にハイリスク・ハイリターン。もちろん「それでも勝つ」という見解もあるだろうし、一競馬ファンとしてはそれを見せて欲しいと願ってもいるが、妙味にうるさい一馬券オヤジとしては「1着はない」と決め打ちたくなる。

 また、このレースで主力をなすのが「前走6番人気以下かつ5着以下」ではない桜花賞組と、「前走3着以下」ではないフローラS組であり、これらの条件を満たすのがサングレアル、ヌーヴォレコルト、ハープスター、ブランネージュ、フォーエバーモアの5頭しかいないというのも、きわめて重要な判断材料だ。

 当データ分析による評価順は、ヌーヴォレコルトブランネージュハープスターフォーエバーモアサングレアル。以下はバウンスシャッセ、ベッラレジーナの2頭までを押さえ評価とした。「ハープスターよりも前の位置(できれば中団)から、ハープスターとそれほど差のない末脚を使える馬」となると、唯一の選択肢となるのがヌーヴォレコルト。さらに前の位置で、しぶとく粘れる可能性を秘めるのがブランネージュである。

 オススメ馬券は、逆転の可能性を秘めるこの2頭の1着固定。ヌーヴォレコルトの1着固定から入る3連単と、ブランネージュ1頭軸の3連複を併用するという、やや変則的な買い方もこのレースに関してはアリかもしれない。いずれにせよ、すべてはハープスターの着順次第で、2着〜3着では買うが1着では買わないというのが基本方針。きわめて興味深く、そしてエキサイティングなレースになること間違いなしだ。

■平安S(G3・京都ダ1900m)フルゲート16頭/登録29頭

 昨年から開催時期、開催コースともに変更された平安S。距離については1800mから1900mへと100mだけ延長されたに過ぎないのだが、昨年も述べたように意外にこの差がデカいのがこの条件。1800mと比較すると、順当決着傾向が一気に強くなるのである。

 過去には「荒れる重賞」の代名詞的存在であり、1999年のオースミジェットを最後に1番人気馬が勝っていなかった平安Sだが、開催条件が変わった昨年はアッサリと、1番人気のニホンピロアワーズが勝利。波乱が起きにくいダートの中距離重賞でもあり、今年も「京都適性が高く先行力のある実績馬」が制する可能性はかなり高いといえる。

 ナムラビクター、ジェベルムーサなど差し脚鋭いタイプが人気を集めそうな今年のメンバー構成だが、平坦の京都でしかも重賞となると、そう簡単には差しが決まらないはず。この2頭を押さえ評価とした上で、京都実績のあるトウショウフリークワイルドフラッパーを積極的に狙ってみたい。人気薄ではクリノスターオーやヒルノマドリード、グランプリブラッドも要警戒か。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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