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入口は柴田大で、出口は蛯名と堀厩舎と柴田大に期待するダービー

  • 2014年05月29日(木) 12時00分


柴田大騎手が皐月賞でウインフルブルームに課した戦法は逃げだった。
で、3着した。
それはその日、3つめの逃げだった。

4月20日皐月賞当日、その日柴田大騎手は皐月賞前までに10レース騎乗していた。
芝は3レース、ダートは7レース。

中山4芝1600 コスモツケマ 1-1-1 1着
中山8芝1200 エクセレントピーク 2-2 4着
中山9芝2000 マイネルミラノ 1-1-1 1着

芝3レースすべてで先行し、2レースで逃げた。しかもコスモ、マイネルの馬で。
その一方ダートでは1レースも逃げなかった。
逃げたのは芝のみ。

マイネル・コスモ・ウイン、いわゆる岡田繁幸氏を総大将とする岡田系軍団の馬は総じて、先行が得意の馬が多いから、逃げることに違和感はないかもしれないけれど、皐月賞と同じ2000の鹿野山特別での逃げには強い意志のようなものが感じられた。

マイネルミラノは先行競馬が多かったけれど、デビュー以来スタートから逃げたことは1度もなかったからだ。それに柴田大騎手は先行タイプではあるけれど、けっして逃げタイプではない。今年の連対時脚質も「逃・先・差・追=5・14・12・2」で、先行と差しが得意なことがわかる。

だからこそより感じられた。
「間違いない。柴田大騎手はウインフルブルームで逃げるための練習をしていた……。」と。

そんなことが皐月賞の日にあったもんだから、ダービーの日が待ち遠しくてしょうがなかった。
もちろん一番気になるのは柴田大騎手がウインフルブルームをどう操るかだけど、お楽しみはダービー週の柴田大騎手の芝での騎乗だ。

中山は芝1800から1周競馬になるから仮想競馬を組みやすかったかもしれない(皐月賞時は、1周競馬騎乗は1つだけだったけど)。しかし東京は2300からが1周競馬。1周競馬での練習はしにくい。もちろん一番大事な3角-4角-直線のチェックはどの距離でも仮想できるだろうけど、1周の仮想ができるならそれにこしたことはない。

今週の東京の芝で1周競馬は土曜日に1つ、日曜日に1つ。
土曜・芝2400 6R
日曜・芝2400 8R青嵐賞

問題は、そのレースに柴田大騎手が騎乗するか。
土曜の6Rは3歳500万の平場だから、まだわからないけれど、青嵐賞には騎乗予定あり。
騎乗馬は先行競馬が得意なマイネルテンクウ。

テンクウは完全に逃げて連対したことはないけれど、逃げも番手競馬もできる馬。練習には持ってこいだ。ちなみにこのレースには先行・差しのマイネルアウストロも登録していて、こちらは騎手未定。もし松岡騎手で出走してきたらマイネルフロストの練習をするかもしれない。

自分の想定、いや空想版では土曜の6Rにも柴田大騎手は岡田系の馬に騎乗することになっている。
だから土曜6Rと日曜8Rが楽しみでしょうがない。

ところで、そもそもウインフルブルームは通用するのか、そこが問題だ。
しかし、自分は未知の魅力に溢れていると思っている。
この25年で皐月賞を逃げて馬券になった馬がそもそも4頭しかいないからだ(それより前は面倒なので調べていない)。

ミホノブルボン・1着 →ダービー1着 1-1-1-1
メイショウボーラー・3着 →NHKマイル3着 3-3-3
ヴィクトリー・1着 →ダービー9着 12-4-4-4
キャプテントゥーレ・1着 →休養

皐月・ダービー2冠のサニーブライアンは逃げて連勝したイメージもあるけれど、逃げたのはダービーだけで、皐月賞は2-2-1-1で完全には逃げていない。

いずれにせよ25年間で4頭しかいない。皐月賞を逃げて馬券になることの難しさがわかる。
また次走のダービーに出走できた馬で自分の持ち味をきちんと発揮して闘えた馬はミホノブルボンしかいないこともわかる。
つまり、ウインフルブルームの皐月賞3着はそれだけで価値があるし、ダービーでも、いい意味でまだわからない馬、可能性を秘めた馬とも言える。

だからこそ柴田大騎手の練習が楽しみでしょうがない。ウインフルブルームをどう操ろうとしているのか、探りたくってしょうがない。

ちなみにダービーで逃げる確率は50:50だと思っている。皐月賞はメンバーや馬場状態を考慮して、逃げを選択しただけで、ダービーはまた別物と捉えているように思えるからだ。

実際、先週のオークスもダービーを仮想して、柴田大騎手のマイネグレヴィルに注目したけれど(馬券は買ってない)、2-2-2-3で8着だった。前走逃げたマイネグレヴィルだけど、結局逃げなかった。もしすでに練習が始まっていたとしたら……逃げない可能性もある。あくまでも練習が始まっていたらですけど。

作戦は枠が決まってからだと思うけれど、理想は2年前のダービー馬ディープブリランテの戦法ではないかと思っている。

ディープブリランテは皐月賞を3-3-4-4と先行して、3着した。つづくダービーも3-4-4-3と先行してフェノーメノの追い上げをハナ差凌いで1着した。

ディープブリランテ
新馬・1800 7-2 1着
東スポ杯・1800 2-2-2 1着
共同通信杯・1800 1-1-1 2着
スプリングS・1800 4-4-3 2着
皐月賞・2000 3-3-4-4 3着
ダービー・2400 3-4-4-3 1着

ウインフルブルーム
新馬・1800 2-2-1-1 1着
野路菊・1800 3-3-4 2着
千両賞・1600 1-1-1 1着
朝日FS・1600 2-5-5-2 3着
シンザン・1600 2-2-2 2着
若葉S・2000 3-3-3-3 2着
皐月賞・2000 1-1-1-1 3着

使われたレースの格はディープブリランテに1枚劣るけれど、戦法や着順はけっこう似ている。
先行して馬券圏内に踏ん張るレースっぷりはミニ・ブリランテっぽい。

今年は中団から後方にポジションを取って、直線で末脚を爆発させたい折り合い重視のメンバーが多く見受けられる。おそらく1人気のイスラボニータも中団、ど真ん中あたりにいそうで、差し馬のマークもイスラボニータに向けられるのではないか?
つまり先行競馬はしやすい状況だと思っている。皐月賞よりもむしろスムーズに先行できるのではないかとも思っているくらいだ。

というわけで、今年はダービーというより、ダービー・ウィークという括りで柴田大騎手の一挙手一投足に注目したいと思っている。もちろん注目の対象は芝レース。特注は土曜6R芝2400、日曜8R芝2400だ。

ウインフルブルームは水曜現在で予想6人気。
正直自分の見立てより2つ人気が高い。これだと複勝1本の旨味は少ないように思える。
そう。ディープブリランテを引き合いに出したけれど、あくまでもミニ・ブリランテ。
勝つのは難しいと思っている。

途中から逃げて14人気で2着したアサクサキングス
先行して12人気で2着したスマイルジャック
先行して7人気で3着したトーセンホマレボシ
先頭に立ったり番手に立ったりして8人気で3着したアポロソニック

理想はディープブリランテだけど、人気の立ち位置は上記4頭くらいがちょーどいい。っていうか、それでお願いしたい。
ディープブリランテは3人気を受けて、勝ち切ったけれど、皐月賞でも3人気で3着していた。
ウインフルブルームは皐月賞では8人気だった。ならばダービーでも同じような人気が望ましい。
で、3着。
か、2着。

今はなぜかウインフルブルームよりも評価の低いディープ産のベルキャニオンやワールドインパクト、ウィリアムズ騎乗のハギノハイブレッドだけど、自分の見立てや調査ではこの3頭は当日になればもうちょっと人気を集めるはず。

今は実オッズの人気が少しでも下がることを祈りながら、土曜の6Rと日曜の青嵐賞に柴田大騎手が騎乗することを願おう。

ところで、逃げるにしろ、先行するにしろ、練習で馬券にならなかったら、本番ではどうするのかって?

その場合はその日の馬場が逃げ、もしくは先行向きではないと判断し、半分諦めます。半分諦めつつ、もう半分でウインフルブルームに期待します。練習の馬のデキが悪い場合もあるからです。
どっちみち買うのかよ! そんなツッコミが聴こえてきます。
まだ週の真ん中です。他にもっと魅力的な馬が現れるかもしれません。しかしおそらく「どっちみち」を選択するのではないか? そう思っています。

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ダービー勝ち馬さがし
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毎年書いているけれど、今年もダービーは以下の掟に照らすと超簡単に絞れる。

「過去20年間で1着馬18頭が該当した掟」

=前走・前々走で人気か着順に「1」が2つ以上ある馬から勝ち馬は出る。

つまり直近で1人気か1着をたくさん集めた馬が勝つというもの。ただし前2走ともにオープン以上のレースであることが望ましい(該当1着馬18頭のうち、例外は新馬・すみれSと連勝して、3戦目でダービーを1着したフサイチコンコルド1頭のみ。それでも新馬・すみれSと1人気で連勝し。1を4つ集めていた)。

去年は該当馬がロゴタイプとキズナしかいなかった。で、1着はキズナ。

ダービーに勝つ馬はダービーに向かって、グングン調子が上がっていくと言われている。この掟がシンプルなのに成功率が高いのは、そこと(ダービーに向かっての上昇が直近の1人気や1着に現れる)シンクロしているからではないか。

では今年該当する馬は何か?

イスラボニータ 共同通信杯1人気1着 皐月賞2人気1着
トゥザワールド 弥生賞1人気1着 皐月賞1人気2着
ベルキャニオン 皐月賞13人気7着 プリンシパルS1人気1着

(タガノグランパ ファルコンS1人気1着 皐月賞16人気17着 前走大敗の場合はダービーで1、2人気になるのが条件。おそらく人気にはならないから今回は非該当でいい)

イスラボニータは鞍上蛯名。これだけで十分買いと思っている。
理由は「蛯名騎手をダービージョッキーにする会が密かに結成されている」と思っているから(もう数年前から書き続けているけれど、今年も書く。同類語で、福永騎手をダービージョッキーにする会もある。橋口調教師、マツパク調教師をダービートレーナーにする会もアツい結社だと妄察している)。

イスラボニータについては父フジキセキから距離2400への疑問符が投げかけられているけれど、陣営はむしろ皐月賞の方が不安だったのではないか? その皐月賞で1着したのだから、得意の東京でムードは高まっているはず。

キングカメハメハやディープスカイを持ち出すまでもなく、この時期は強い馬なら東京マイルでも東京2400でも強いはず。イスラボニータはNHKマイルに出走していても強かったと思えるから、ダービーでもふつうに強いのではないか? そんな解釈。

たしか4年前、NHKマイルを勝って、ダービーに挑戦してきた(故障で直前回避)ダノンシャンティの父がフジキセキだった。あのとき、もしダービーに出走していたらどうであったろう。自分はやれたと思っている。だからイスラボニータについてもあまり心配していない。

トゥザワールドはまだダービーを勝ったことのない川田騎手とキャロットの馬だから、ダービーを勝ちたい動機はあると思う。けれど、周囲のダービーを勝たせてあげたい度は蛯名騎手に比べるとやや弱いか。それでも1着する可能性が残っていると思うのは、中団より前で競馬ができそうなことと、前走皐月賞と先週オークスを1人気で負けたことで川田騎手自身のテンションが高まっていると思えるから。個の意地で扉は開けるか?

ひねりではベルキャニオンが一番面白い。
もともとは福永騎手でダービーを狙っていたはず。何がどう転んで、それがどう転がって、戸崎騎手に替わったのかわからないけれど、福永騎手が、戸崎騎手が騎乗していたレッドリヴェールでダービーに出走してくるとあってはざわつかずにはいられない。

それは現場レベルでよりざわついているのではないか?
この場合の現場レベルとは調教師レベルではなく、厩舎担当レベルのこと。
みんな大人だろうから口には出さないと思うけれど、お互いにその相手にだけは負けたくないのではないか?

それは牡馬を送り出すベルキャニオンにより強く感じる。
「ダービーなんて、もはやどうでもいい。とにかくレッドリヴェールだけには負けないでくれ。」
そんなお願いを戸崎騎手にしているように思えてならない。

馬に関して言えば,自分はベルキャニオンの兄貴のカミノタサハラが蛯名騎手でダービーに出走してきたら自信の◎にするつもりだった。残念ながら故障で回避してしまったけれど、その馬の全弟がダービーで足りないとは自分には思えない。回り道はしたけれど、執念でダービー出走の扉を開いたともいえ、注目しないわけにはいかない。

イスラボニータ…蛯名の積年の思い
トゥザワールド…川田個人の意地
ベルキャニオン…現場レベルの執念

3頭どれが勝っても、それなりに説明はつく。
あえて順番をつけるならば、
イスラボニータ>ベルキャニオン>>>トゥザワールドとしたい。

でも数年前から決めている。
この掟に合致する馬はすべて1着する可能性があると思うようにしようと決めている。
だからこれ以上は踏み込まない。

2着か3着しそうな馬を見つけ出し、そこから掟該当馬に流す。
それが一番いい。

それゆえにウインフルブルームにこだわってみた。

もちろん例外もある。20年間で18頭が1着したということは2頭が非該当馬だったということだ。
その2頭とはタヤスツヨシとディープブリランテ。
この2頭に共通することは皐月賞を馬券圏内で走り、ダービーでも人気を集めていたこと。非該当馬とはいえ、穴を開けていたわけではなかった。
タヤスツヨシは皐月賞2着でダービー1人気だった。ディープブリランテは皐月賞3着でダービー3人気だった。

今年の皐月賞3着以内馬は、イスラボニータ、トゥザワールド、ウインフルブルーム(おっと!)。

イスラボニータとトゥザワールドは掟を満たしている。
問題はウインフルブルームだけど、残念ながら穴人気になることはあっても、3人気以内に入ることはないだろう。でもここで馬名が上がることは悪いことではない。ミニ・ブリランテとして、慎ましやかに3着してくれればそれでいい。

ディープインパクト産の例外突破力も怖いけれど、掟を満たした馬にディープインパクト産のベルキャニオンがいるので、今年は例外探しにはあまり勤しまない方向で行こうと思っている。

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ダービー注目馬
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☆☆☆ウインフルブルーム 柴田大騎手には入口(土曜)から出口(ダービー)まで注目

1着候補
イスラボニータ ★★★ 蛯名騎手をダービージョッキーにする会はありまーす。それを今年こそ証明して欲しい。
ベルキャニオン ★★☆ レッドリヴェールに先着するか、そこも興味津々。
トゥザワールド ★ 馬券圏内では安定してそう。


ヒモ以上候補
ハギノハイブリッド…ウィリアムズの掲示板力に+αが加われば、わからない。
ワールドインパクト…先行でも差しでも馬券圏内を外さない、脚質に自在性のあるディープインパクト産。そこが少々魅力的。

この2頭は、前2走オープン以上という規定を満たしてはいないけれど(2走前が500万だった)、前2走で「1」を2つ以上集めてる馬で、フサイチコンコルド的例外を秘めているかもしれない馬たち。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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