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『ジョッキーブーツはキツキツ!?』読者の質問に太が答えます!

  • 2014年06月17日(火) 18時00分
小牧太

読者の質問に太が答えます!


今回の『太論』は、続々と寄せられる質問のなかから、ユーザーの4つの疑問をピックアップ。馬への当たりと手綱を持つ位置の関係や、ムチの使用法についての制裁といったディープな質問から、ジョッキーのブーツにまつわるあれこれなど、怒涛の質問に小牧騎手が真摯に答えます!
(取材・文/不破由妃子)


■グリーンのブーツを見て「あ、太や!」

──今回も“当たり”についての質問がきています。「馬への当たりが移籍当初より柔らかくなったとのことですが、手綱の長さも、たとえば拳ひとつ分、短くしたり長くしたりなど、変えたりしたのでしょうか?」というものです。

小牧 当たりと手綱の長さはまったく関係ないわけではないけど、そもそも当たりって騎座も含めた全体のことやからね。引っ張る引っ張らんは関係ないから。まぁハミが掛からない馬は、ちょっと短めに手綱を持ってハミを受けさせることはあるけど。

──逆に長めに持つ馬もいる。

小牧 もちろん。ただ、ゲートを出たときに手綱を長めに持っていると、道中で持ち替えたりはできへんから、そのあたりは注意せんといかんけど。

──そうなんですね。

小牧 うん、動かしたら口に当たって、せっかく折り合っていた馬が反応してしまうからね。それでハミが掛かってしまう場合がある。だから、長く持っていたら、長いままで乗るしかないというか。掛かる馬はとくに、口に触ったらダメやね。

──短く持っているのを長く持ち替えることはできますか?

小牧 それはできます。折り合い出したら緩めたりね。

──続いては、「最近、ムチの使用法で制裁を受けている騎手をよく見かけますが、戒告と制裁金の境目はなんなのでしょうか?」

小牧 ああ、最近多いねぇ。境目は…裁決の人が決めることやから、僕にはようわからんけど、あれね、一完歩ごとに叩けば大丈夫なんですわ。とにかく連打したらダメなんやね。確か何回以上連打したらアウトとかあるんやけど、僕はあんまり連打ってしないから、(ムチの使用法についての制裁は)もらったことがないけどね。

──なるほど。ムチの使用法については、逆にひとりのジョッキーが一日に何度も制裁を受けているケースもありますね。

小牧 うん、あれも癖やからね。ケツ上げと一緒で(笑)。

──続いては、ジョッキーのブーツについての質問です。「先日、武豊さんの騎乗用のブーツを作る過程に密着しているテレビ番組を観たのですが、ジョッキーのブーツは一般のブーツとは違い、つま先にゆとりを作らずにキツキツに仕上げるそうですね。それを一日中履いているとなると、浮腫んだり痛くなったりしないのでしょうか?」というものです。

小牧 ジッとしていたら浮腫んできたりするんやろうけど、動いているからきつくなることはないね。逆に緩くなってきます。なんせ汗をかくし、食べへんから。それに、みんな常に何足も持っていて、途中で履き替えるからね。僕は常に3足は持ってるよ。

──当然ながら、自分の足のサイズにピッタリ合わせて作るんですよね?

小牧 そうです。きちんと足型を取ってね。お店にずっと置いてあるよ。そういえば僕、デビュー当初から測り直してないなぁ。とにかくキツキツに作ってあるから、冬は履きづらいねん。そういうときは、なかに石鹸を入れて滑りやすくして履いたり。

──ところで、ブーツの素材は?

小牧 素材はほとんどがクラリーノ。皮のブーツもあるけど、皮は雨が降ったらボロボロになるからダメやね。

──消耗品だと思うのですが、どのくらい持つものなんですか?

小牧 どのくらいやろ…まぁ1年は持たんね。穴が開いたら替える感じかな。なんせ高いからね。1足3〜4万はするから。

──色も何色かありますよね?

小牧 あるある。僕はグリーン、豊くんはパープル。グリーンは珍しいから、ブーツを見て「あ、太や」ってわかるみたい。僕は園田時代からずっとグリーンやけど、グリーンを履いている人はめったにいないよ。多いのは黒とか茶色やね。チャックが付いているタイプもあれば、ないタイプもあるし、靴下もストッキングのようなものを履く人もいれば、普通の靴下を履いている人もいる。人それぞれやね。

小牧太

グリーンは珍しいから、ブーツを見て「あ、太や」ってわかるみたい



──そうなんですね。あまり意識していませんでしたが、誰が何色のブーツを履いているか、注目してみるのもおもしろいですね。では、最後の質問です。「良血馬とそうではない馬では、背中の感覚からして明らかに違うのでしょうか? また、そのほかに競走馬として何が違うのか教えてください」というものです。

小牧 ん〜、背中というより、心臓とか内臓系が違うんじゃないかと僕は思う。地味な血統の馬でも、むちゃくちゃいい背中をしている馬もたくさんいるしね。いつも例に出すけど、ブエナビスタとか姿形はあまり良くないのにあれだけ走ったのは、やっぱり心肺機能が違うんだと思うわ。

──ヴィンテージローズが初戦で競り勝ったときに、確か「血統やね」っておっしゃっていましたよね。

小牧 ああ、あの馬も決して背中がいい馬ではないからね。だから、ゴール前でもうひと踏ん張りしてくれたあたり、やっぱり血統なのかなって思った覚えがあるわ。

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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