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“ディープ産駒早熟説”を覆した5歳スピルバーグの天皇賞制覇/トレセン発秘話

  • 2014年11月06日(木) 18時00分


◆「大器晩成」な人馬

 かつて「ノーザンテースト産駒は三度化ける」という格言があった。成長力に富むチャンピオンサイアー(82〜92年にリーディング10回)をたたえたものだ。では、逆に化けない馬は? その問いに対して宴会野郎は「実はそれがディープインパクト」と答えてきた。自信満々に、だ。

 同馬を担当していた市川明彦キュウ務員がこう語ったことがある。「2歳の入キュウ当初から次元が違ったからね。いつが成長期と聞かれてもピンとこない」。この言葉を当方は「ディープこそ超早熟、もしくは超早期完成型」と解釈した。故に、リアルインパクトが3歳馬による史上初の安田記念(11年)制覇を遂げた時も驚かなかったし、ステイゴールドやハーツクライの産駒がリードする今の古馬戦線も自然の成り行き。そう捉えてきたのだ、先週末までは――。

 この仮説を根底から覆したのは天皇賞・秋を制したディープ産駒スピルバーグ。昨夏はまだ1000万の条件馬で1年後の5歳秋の初戴冠。これを叩き上げと言わずして何と言おう。成長力を見誤りヌケ(無印)にした予想もさることながら、同時に恥じ入るのは、この馬の背にいた北村宏への“イメージ違い”だ。

 デビューから16年目の34歳。通算1000勝超えの堂々たる数字に対し、これまでGI制覇は06年ヴィクトリアマイル(ダンスインザムード)のみ。いかに大舞台に縁遠かったかが分かるだろう。しかしレース後の会見で彼は堂々とこう語った。「今年は年頭にGI制覇という目標を立てて挑んできた」。当方を含めて多くのファンが抱いてきた“地味な職人タイプ”という認識、それに甘んじる気持ちは毛頭なかったということだ。

 昨年は自身初の年間100勝を達成し、今年も大台は目の前(先週終了時点で98勝)。これには「特別に何か変えたとか、つかんだということはない。人間関係を含めて、培ってきたものが徐々に結果として出始めた感じ」と北村宏。スピルバーグによく似て、人もまた「大器晩成」だったということか。

 このコンビの輝きは一過性のもの? いや、到底そうは思えない。宴会野郎の概念を覆すGI制覇は栄光のプロローグとなりそうな予感満載である。
 (美浦の宴会野郎・山村隆司)

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