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【イベントレポート】小牧騎手×内田騎手『まだまだ若手には負けない!と思った瞬間』/動画

  • 2015年12月22日(火) 18時00分
小牧太

最終回の今回は内田騎手が騎乗するアノ“白い馬”の話題も…


『太のプレミアムトーク』レポート最終回。「中央にきて“こんなはずじゃなかった!”と思ったこと」や「まだまだ若手には負けない!と思った瞬間」などなど、小牧騎手と内田騎手のホースマン談議もいよいよ終盤へ。馬作りを語るなかで、今週、内田騎手が騎乗するアノ“白い馬”の話題も飛び出した!(文・不破由妃子、司会・赤見千尋)



※動画は有料域で見ることができます。

「柔らかい小牧太」より「強い小牧太」が見たい

赤見 みなさんご存じの通り、お二人とも地方から中央に移籍されました。そこで続いてのテーマは、「中央って“スゲェ!”と思ったこと、“こんなはずじゃなかった…”とがっかりしたこと」。まずは内田さんから。

内田 たくさんのレースに乗るなかで、だんだんと大きなレースの重みがわかってきて、改めて「すごいところにきちゃったんだな」と思うことがありますね。

小牧 僕はね、まだ20代の頃に、ヤングジョッキーズワールドチャンピオンシップ(93年)で初めて中央に乗りにきて、そのときに初めてサラブレッドに乗ったんですよ。当時の園田にはアラブしかいなかったんでね。園田は1000mの馬場でグルグルグルグル回っているような競馬やったけど(笑)、いきなり中山の広いコースで、芝のレースもそのときに初めて乗って。

赤見 同じ競馬でも、環境がまったく違ったんですね。

小牧 はい。だから、園田に帰ったときに「俺、なんでこんなに小さいところで乗ってんのかな」って寂しく感じてしまってね。園田を辞めて、一から中央の試験を受けようと本気で思いました。安藤勝己さんが試験を受けるずーっと前の話ですけど。

赤見 20年以上前ですから、そうですよね。

小牧 正直に調教師(曾和師)さんにも相談してね。そうしたら、「ここ(園田)でトップを取っていたら、また中央に乗りに行けるんだから、ここで頑張っていこうや」って言われて。それで納得したんですけどね。

赤見 そんなことがあったんですねぇ。

小牧 まさかね、夢が叶ってJRAに移籍できるとは。その時点では全然思ってなかったです。僕は本当についてますよね。

赤見 では逆に、「想像と違ったこと、ガッカリしたこと」はありましたか?

内田 ガッカリとは違うかもしれませんが…、ごく一部にしても、騎手の指示に従わない馬が多いですねぇ(苦笑)。

赤見 えっ!? そうなんですか?

(観客席から「白い馬とか…」という囁きが)

赤見 あ〜、“白い馬”…。

内田 それは土曜日(11月28日)の馬(ラニ)ですか?

赤見 みなさんがおっしゃっているのは、日曜日のほうですね(笑)。

内田 ああ、日曜日(ジャパンC)にノリさんが乗っていたほうですね(笑)。あの馬はね…、3歳のときは酷かったですよ。

赤見 はい。見てました。

内田 だいぶおとなしくなっちゃいましたね。

赤見 当時は、馬場入りのときとかすごかったですよね。

内田 そうですね。当然ですが、ジョッキーそれぞれに考え方の違いがあって、「乗せていただく」という気持ちで乗るのがノリさんの考えなら、僕は「乗っている人間のほうが上。だから、まずは騎手のいうことを聞け」という考えで、あの馬にはずっとそう教えてきたんです。あくまでも僕の考え方ですが、ああいう“俺様”的な馬は相撲部屋と一緒で、一度コテンパンに折られないといけないと思うんです。もちろん、それぞれに考えがあって、それぞれのやり方で精一杯、馬と向き合っていますから、正解はないんですけどね。ただね…、ああいう馬はね、あんまりいないです(苦笑)。

赤見 そうですよね。珍しいですよね。

小牧 僕も内田くんと一緒で、人間には優しいんですけど(笑)、馬は叱ります。悪いことをしたり、自分のいうことを聞かなかったから、聞くまで教えます。感情をコントロールできない馬って、やっぱりわがままな馬が多いんでね。JRAにもわがままな馬がけっこういるなぁと思うし、厩舎ごとで決まった調教をしているから、自由にさせてもらえないっていうのもあるしね。内田くんもそうだと思うけど、地方のころは調教からしっかり携わってたんでね。今は慣れましたけど、最初はそれがちょっと面白くないなぁと思いましたね。

赤見 逆にいうと、ジョッキーも一緒になって1頭の馬を育てていくというのが地方の良さのひとつで。

内田 アラブはもっと気性が激しいし、もっということを聞かない。そのなかで小牧さんは乗ってきているから、馬に競馬を教える技術については、ものすごくあると思うんです。でも、中央では中央のやり方があって、厩舎ごとの考え方もあるし、ジョッキーの意見を「なるほどな」って聞いてくれる人も少ない。だから、だんだん寂しくなってくるんですよね。

赤見 やはり、技術があるからこそ、そう思うんでしょうね。それでは、次のトークテーマに移りましょう。「今こそ全盛期! 中年凄腕ジョッキーをナメるなよ!」。

内田 ちょっと待って。28歳ですよね?

小牧 いえ、38歳です(笑)。

赤見 ……ということなんですけれども(笑)、まだまだ若手には負けない! と思う瞬間は?

小牧 ずっとそう思ってますよ。“負けた”と思うことがあったら、それはもう辞める時でしょう。ジョッキーはみんなそうだと思いますよ。“自分は人より乗れる!”と思ってないと、やってられないでしょう。

内田 本当に小牧さんの言う通りです。負ける気なんてまったくありませんからね。そりゃあ細胞的には若いほうがいいのかもしれないけど。

赤見 細胞的には(笑)。

内田 積み重ねてきたものは、やっぱり我々のほうが上なので。だから、負ける気はひとつもしないです。外国人ジョッキーにも、絶対に負ける気はしないです、気持ち的には。

赤見 一般的には、30代の後半から40代の前半あたりで、体力の低下を感じる方が多いと思うんですが、おふたりはいかがですか?

内田 いやぁ、むしろ体力はどんどん上がってますねぇ。この間も土日で21鞍乗ってますし、日曜日は全部乗りましたからね。まだまだこうやって強がってないと…。

赤見 強がっているわけではないですよね!?

内田 強がってます! マインドコントロールです(笑)。

小牧 僕も体力は全然落ちてないと思うね。酒は弱くなったけどねぇ(笑)。体はね、進化の途中です。僕ね、今年に入ってから、ジョッキーになって初めてトレーナーを付けまして。1週間に一度、トレーニングをしているんですけど、ちょっといい体になってきました。

赤見 本当に進化の途中なんですね!

小牧 そうですね。本当はここで脱ぎたいんですけどね。

(観客席から拍手が!)

小牧 ……今日はちょっと(脱ぐのが)面倒くさいんで止めておきます(笑)。

赤見 では最後に、今後もお互いにどんな存在であってほしいか、エールの交換をお願いします。

内田 地方から中央に移籍したジョッキーの先輩としてね、“柔らかい小牧太”というよりも、もっと強くあってほしいなって。今の小牧さんは、優しいイメージが強いから。

小牧 わかりました。内田くんは、僕からエールを贈らなくても、頑張りすぎるくらい頑張ってるからね。僕も内田くんのレースぶりが励みになっています。だから、その剛腕をいつまでも見ていたいですね。

小牧太

「僕も内田くんのレースぶりが励みになっています」と内田騎手にエールを送る小牧騎手



内田 ありがとうございます! ジョッキーは、同じジョッキーに褒められるのが一番ですからね。

赤見 早いもので、そろそろお時間です。

内田 すみません。今日は失礼なことをペラペラと…。

小牧 ウッチーがおしゃべりなのはわかってたから大丈夫やで(笑)。今日は本当にありがとう。

■動画■まだまだ若手には負けない!と思った瞬間






【次回の太論は!?】
今週末は、いよいよ2015年の総決算、有馬記念! ご存知の通り、小牧騎手はヒットザターゲットでグランプリに臨みます。そこで次回は、有馬記念直後の小牧騎手を突撃取材。どこよりも早いレース回顧をお届けします!

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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