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次世代の名牝系確立に期待

  • 2020年11月30日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・11/29 ジャパンC(GI・東京・芝2400m)
 残り150mで先頭に立ったアーモンドアイが追いすがるコントレイルとデアリングタクトを抑えて1番人気に応えました。キセキが大逃げを打ち、位置取りと仕掛けどころの難しいレースとなりました。

 ただ、たとえ隊列に多少の変化があったとしても、アーモンドアイとコントレイルの1・1/4馬身差は覆らなかったと思います。

 芝中距離におけるアーモンドアイの強さは特別なものがあり、芝2000〜2400mでは6戦して一度も負けませんでした。東京芝2400mでは3戦全勝です。

 父ロードカナロアは自身がそうであったようにスピードタイプの種牡馬ですが、母フサイチパンドラはエリザベス女王杯の勝ち馬でオークス2着。そのスタミナを受けて芝中距離を苦にしませんでした。トライマイベスト≒ロッタレース5×3という4分の3同血クロスは大胆で、キングカメハメハ系のセオリーであるヌレイエフのクロスも光ります。

 これで現役生活に別れを告げ、来年から繁殖牝馬となります。初種付けの相手はエピファネイアが予定されているとのこと。エアグルーヴやシーザリオのような名牝系を築いてほしいものです。

・11/30 京阪杯(GIII・阪神・芝1200m)
 中団の外を追走したフィアーノロマーノが直線で力強く伸び、早め先頭に立ったカレンモエをゴール前でクビ差とらえました。昨年3月にダービー卿チャレンジトロフィーを勝って以来2つめの重賞制覇です。

 8月生まれの豪州産馬なので6歳馬といっても実質5歳半。父ファストネットロックは大種牡馬デインヒルの仔で、父と同じ豪州産馬。イギリスやアイルランド出身の同産駒と違い、軽いスピードに恵まれているので、スピードがモノをいうわが国の馬場にも向いています。

 日本で走った産駒は17頭いますが、フィアーノロマーノとメラグラーナ(オーシャンS)が重賞を勝ち、ブラヴィッシモは阪急杯で3着。産駒のコース別成績を見ると阪神芝で[7-5-2-13]、勝率25.9%、連対率44.4%、複勝率51.9%と抜群の適性です。阪神以外では中山芝で[5-0-4-13]。この2つの競馬場では積極的に狙いたいところです。

今週の血統注目馬は?


・12/6 市川S(3勝クラス・中山・芝1600m)
 登録馬の父のなかで中山芝1600mに強い種牡馬はロードカナロア。連対率24.8%は、2010年以降、当コースで産駒が20走以上した100頭の種牡馬のなかで第4位。当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではトップです。産駒のロフティフレーズは当コースで[1-1-2-0]。一度も馬券圏内を外していません。前走の秋風Sは3着。不利な12番枠を引き、後方からのレースを強いられたロスが響きました。好枠を引いてスムーズに流れに乗れればおもしろいでしょう。

今週の血統Tips


 最新の北米ファーストシーズンサイアーランキングを見ると、1位ナイキスト(Nyquist)、2位ノットディスタイム(Not This Time)、3位ラオバン(Laoban)、4位アウトワーク(Outwork)という順位。1位ナイキストはケンタッキーダービーとBCジュヴェナイルなどG1を5勝した名馬で、種付け料が高く、繁殖牝馬の質も良かったので順当な結果ですが、注目すべきは1位、3位、4位がいずれもアンクルモー(Uncle Mo)の仔であること。

 アンクルモーは2020年の北米サイアーランキング第3位の名種牡馬で、ここにきて“種牡馬の父”として頭角を現しています。11月6日(現地時間)に行われた北米2歳牝馬のチャンピオン決定戦BCジュベナイルフィリーズは、1、2、4着がこの系統の馬で占められました。アンクルモーの父系はナスルーラ系のグレイソヴリンにさかのぼります。

 北米で細々と続いてきた弱小ラインがいずれアメリカの主流血統に躍り出るのでしょうか?興味深い動きなので引き続き注視していきたいところです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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