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【阪神JF】ソダシはアイドルホースへの道を確固たるものにできるか

  • 2020年12月12日(土) 12時00分

春のクラシックを強く意識する一戦


 大きな勝負に決着がつき一歩前進、GIロードもあと3週に。がらり一変して新風が吹く。そこから薫ってくる微かな香り、今度はそれを確認するときだ。

 2歳牝馬といえば、無敗で三冠を達成したデアリングタクトの偉業を受け、なにかと比較される運命を背負っている。

 ところが、一年前のデアリングタクトは、11月に京都の新馬戦を最速の上がりで勝ったばかりで、その後リフレッシュ放牧に出ていた。この阪神ジュベナイルFはパス、英気を養ってエルフィンSを4角10番手からちょっと仕掛けて4馬身差で圧勝、3ヵ月の休養の成果を見せつけ、その後の三冠につなげていったのだった。

 めざす春のクラシックにどうのぞんでいくかは最初の一戦でどんな手応えをつかんでいたかで異なってくる。

 去年阪神ジュベナイルFで掲示板にのった上位5頭は、全て今年の桜花賞に出走していた。多くの馬たちがそこをにらんで戦うのだから、やはり阪神の外回りの1600米を強く意識するのが第一だ。

 話題に事欠かない中央競馬だが、今年は白毛馬のソダシ一頭が目立っている。

 果して人気と実力を兼ね備えたアイドルホースへの道を確固たるものにできるかが最大の焦点。前で運べて終いでひと伸びできる強さ、正攻法でコースがかわっても結果を出して3戦全勝でここに登場した。芝の新馬戦を勝ったこと、札幌2歳Sで芝の重賞勝ち馬第1号になったことと、勝つごとにJRAの記録を作ってきた。

 母のブチコはゲート難で引退を余儀なくされたが、ソダシにはその心配はない。少しテンションが高いところがあり、いかに平常心でのぞめるか。白毛のイメージの、切れ味に乏しくダート向きという見方を、ソダシはこれまでの3戦で少しずつ変えさせてきたが、ここでの結果次第で白毛の歴史が変わるかもしれない。

 白毛は、これまで中央では27頭が登録されてきたが、現役は現在8頭のみ。全体で0.1%しかいない。

 ソダシの祖母はシラユキヒメ、クロフネとキングカメハメハとの相性がいい。このシラユキヒメの系統が枝葉を特に広げてきたが、この中に、白毛ではなく鹿毛のメイケイエールが、やはり3戦全勝でここで戦うのだから面白い。ゲートが開くとがしっと行き、かかりながら勝った前走から折り合いがポイントだ。この2頭のテーマは、リラックス。さてどうか。

 あまり目立たず花を咲かせているビワの木にお茶の木。しかし、かすかに匂ってくることで気づかせている。

 この舞台にもそんな伏兵が潜んでいる筈。競馬上手で決め手が武器のサトノレイナスは、6月デビュー勝ちで今回が3戦目、可能性は高い一頭。

 ワンターンの阪神で浮上できそうなユーバーレーベン、新種牡馬で評判のモーリス産駒から、インフィナイトをつけ加えておく。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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