では、緩い流れで揉まれなかった馬を、条件戦からの格上げ戦でも狙えるパターンとは、どのようなものがあるのだろうか?
例えば昨秋に毎コミの携帯サイトの2点目で万馬券を当てた
'09年アルゼンチン共和国杯。このレースには、鮮度馬の意味が詰まっていた。そこで、ちょうど良いサンプルになるので見ていこう。
私が本命にしたのは前走が準OPだった
アーネストリーだった。
同馬は前走が前半35.1秒−後半34.9秒という平均ペースの単調な先行。揉まれずにスムーズな競馬だった。今回は一気にGII。タフなレースになって前走から違和感は感じないだろうか?
実はその心配はあまり要らない。前走は京都の内回り2000m。今回は東京の2500m。前走より前半は緩く流れるのが普通で、スムーズに気分良く先行出来る。これをMでは「先行馬の延長」と呼んで、「順ショック」になるのだ。
ただ、東京の2500mは体力的にはかなりタフだ。その落差を苦痛に感じる場合がある。
そこへのケアは4、5走前にあった。東京より急坂があってタフな阪神2400mを凌いで勝っているので体力は豊富なのである。これなら体力的な落差への精神的危険性は少ない。さらにはその次走の日経賞の内容。このときは同じ準OPからの挑戦だったのだが、前半が前走よりかなり速くなってしまったことで辛く感じて4着。この凡走でこのときと同じシチュエーションのアルゼンチン共和国杯はさほど人気にならなかったわけだが、先行馬の少ない今回のメンバーの東京戦で、中山の日経賞より流れが速くなることはまず考えられない。したがって日経賞のときより楽に感じるので、4着より上の着順はほぼ確実と考えて良いだろう。
ところで、このレースには同じ準OPから出走の鮮度馬
トウショウウェイヴの方が3番人気と人気になっていた。しかしこちらの方が危ない。前走は東京の準OPでスローを追い込み勝ち。しかし、スローを追い込んだからと言って評価を上げる必要はない。今回は距離が延びてしかもGII。前走よりタフな競馬になる。そうなると追走することに疲れてしまって、前走のように気分良く速い上がりを繰り出せないのだ。
これをMでは「追い込み馬の延長」と呼んで「逆ショック」になる(もちろん追い込み馬の延長でも、延長を好むタイプで追い込み競馬になれば好走することもある。その場合は、だいたいバウンドショックなどの、M的な仕掛けが含まれていることが多いのだが、このケースについてはまた後の機会に触れたいと思う)。
最後に2番人気の
スマートギアも見て欲しい。
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