スマートフォン版へ

阪神JFの3連複62倍を2点目で的中させたロジックとは?

  • 2013年12月11日(水) 18時00分


◆買いたいステップの馬がいなかった阪神JF

 ここのところ2歳馬診断をしているが、今週はGIの阪神JFが行われたので、早速見ていこう。

 私は、8番人気フォーエバーモアを本命、同点の対抗に5番人気レッドリヴェール、その後2番人気ホウライアキコ、1番人気ハープスターと予想したので、3連複の62倍を2点目で当てることが出来た。

 戦前、今年の阪神JFはハイレベルだという論調が支配していた。牡馬相手に重賞を勝ってきたような馬など、話題の馬が多かったからだ。

 だが、私はこのメンバーを見たとき、むしろ買いたいステップの馬がいないことに、愕然としてしまった。

 素材は良いかもしれないが、M的にはまともなステップの馬がほとんどいないのである。

 唯一買えるステップなのがレッドリヴェールだったが、前計量で大幅減。ステップの優位性と絞れた方が集中しやすいC系の馬体減りということで何とかなるレースかもしれないが、それでも展開次第で微妙だ。その為、同点でデータ的には過去全く通用していなかった「1400mの東京500万を勝った」フォーエバーモアを、敢えて指名せざるを得なかった。

 結果、先行馬は人気のホウライアキコ含めて全馬が惨敗するハイペースでの差し、追い込み競馬になった為、フォーエバーモアは早めに動いた馬の中では最先着したものの3着に終わったが、もうちょっとでもペースが緩むか、インが残れる馬場なら、レースを見ても分かるように、恐らく勝っていただろう。

 データ的には3着すら過去にないステップの馬が、横綱相撲をして、しかも当日の流れや馬場が向かなかったのに3着に残れる、そういうレベルのレースだったわけだ。

 では、何故私の上位に挙げた4頭以外は、危なかったのか?いや、さらに踏む込んで言えば、ステップ的にはレッドリヴェール以外、まともな馬がいなかったのか?を、具体的なステップ、血統から1頭1頭、M的に斬り込んで考えてみたい。

 まず、私が上位4頭に挙げなかった馬から見ていこう。

 3番人気だったレーヴデトワールは、10番目という低評価にした。

 500万勝ちで鮮度は高い。しかし、良いのはそこまでだった。

 前走白菊賞は前々走の2番手先行から、一気に追い込みに回る位置取りショックを仕掛けた。この白菊賞は2週前のコラムでちょうど解説しているので参考にして欲しいが、この位置取りショックが効いたのだった。

 というのも、ゼンノロブロイ産駒は揉まれ弱い。したがって、短縮で多頭数という、前走よりごちゃつく競馬を馬群の中で乗ったら、嫌がる可能性が高くなる。したがって、最後方から揉まれないように乗ったのは、最適な選択だったのである。

 今回は、前走よりさらに頭数が増えて18頭立てで、しかも相手強化のGI。そしてトドメは最内枠だ。

 これだけ前走より、激しく揉まれる条件が揃っていては厳しい。

 この前走より揉まれるであろう条件をクリアするには、思い切って先行する位置取りショックか、逆に最後方から競馬をするか、重でばらけるかが考えられる。

 ところが前に行こうにも、今回のメンバーではペースは速い可能性が高く、逃げでもしない限り、むしろ内で激しく揉まれる可能性が高い。

 最後方からの競馬なら揉まれにくいが、GIで3番人気に推され、しかも最内枠から、一端最後方に下げるような競馬を騎手が選択する可能性はあまり高くない。それを選択したところで、阪神のフルゲートの最内枠で、上手く馬群を捌けるかというと、かなり怪しい。

 雨が降る気配も、天気予報からはない。

 ということで、前走より揉まれるリスクが高いと判断し、10番手評価とした。

 次は4番人気マーブルカテドラル。

 前走は今回と同距離の東京マイルで重賞勝ち。2走前には今回と似た形状の急坂がある中山マイルも勝っている。実績的には申し分ない馬だ。

 しかし、M的には突っ込み処が多すぎた。

 まず、マイルのオープンを2連勝していて、しかもマイルのオープンを3戦連続で走っている点。

 いつも書くように、マイル戦の前にマイルのトライアル重賞を勝つとストレスがきつい。しかも、それ以前もずっとオープンの1600mというハイレベルな同距離を走ってきたのだから、ストレスは大きい。

 以前から書いてきたように、ダイワメジャー産駒は疲れやすさが最大の弱点になる。

 これだけ疲れるステップで、疲れやすいダイワメジャー産駒では、期待値が低い。

 この秋には前哨戦の重賞で2着したダイワマッジョーレがマイルCSでも2着したが、秋は1戦のみで、しかも1400mだった。疲労レベルが今回とは全く違う。

 ということで、レーヴデトワールと同じ66点の9番手評価とした(私の予想では、同点の場合は人気の無い方が上位評価となっているため)。

 6番人気マジックタイムはどうか?

 前走500万勝ちと鮮度が高い。

 強い相手に怯まないのがハーツクライ産駒で、格上げ戦はもちろんマイナスにはならない。体力豊富なハーツクライ産駒だから、阪神の速い流れも理想だ。

 ハーツクライ産駒の欠点である疲れやすさも、弱い相手の500万勝ち後に中5週開けているのなら、全く気にする必要はない。というか、ハーツクライ産駒としては疲れが残らない、理想的なローテーションである。

 ということで、もちろん食指が動くが、気掛かりなこともあった。

 デビューから前走まで3戦、その全てで3角10番手以降から追い込んでいるのだ。

 これもいつも書いていることだが、ずっと追い込みばかりだと馬は活性化しにくい。それでも京都や東京などの緩い流れでの単調な外差し競馬なら悪くないが、阪神などタフなコースでの、厳しいラップの場合は、仮に追い込み競馬になったとしても、追い込んでばかりの追い込み馬は活性化していないので、よくない。

 さらには、同馬の場合、厄介なのは3走ともスローだったことだ。

「スローを追い込んで好走しているのだから強い」というのは飽くまで物理的な強さであって、Mではそれは大きなプラスにはならない。

 活性化で考えた場合、ずっとスローを追い込む競馬ばかりでは、余計に刺激が無いので、活性化度合いが低いのだ。

 この3走全てが1600m以上だというのも問題だ。

 緩い流れの追い込み競馬しかしていないのが問題なのに、距離も今回より短い距離を経験していない。これでは刺激が低すぎる。

 ステップ的な強調点としては、デビュー戦で小回り福島を捲っている点が挙げられる。これである程度S質の刺激を受けている。これがなければ、前2走が新潟外回りのスローという単調な競馬を追い込んだだけなので、まず今回は無理だろう。

 血統面、鮮度、デビュー戦の福島という強調材料と、活性化が全く施されていない点を比べると、やはり活性化問題の方が気になる。

 ということで8番手評価とした。

 では、上位に評価した4頭のステップはどうだったのだろうか?

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング