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2歳馬解説 トーセンスターダムなど

  • 2013年11月27日(水) 18時00分


◆幅広く距離をこなせそうなトーセンスターダム

 先週に続いて、気になる2歳馬をM的な視点で見ていこう。

 土曜には2歳オープンの京都2歳Sが行われ、単勝1.5倍の断然人気だったトーセンスターダムが勝利した。

 スローの前残り競馬を、上がり33.6秒で差し切ったのだから、ここでは力が違ったという内容だった。

 もちろん、高速上がり指数の高いディープインパクト産駒だから、上がり勝負に強いのは普通ではあるが。また、姉のラシンティランテも、3勝目が上がり33.5秒での差し切り勝ちだったように、母系からも上がり勝負に強いので、特に際立った内容というわけでもない。

 ただ、母系からパワーが豊富なタイプのディープインパクト産駒で、そういう意味では距離の融通性が高く、比較的欠点は少ない。適距離としては2200mくらいだろうが、1600m以上なら、どの距離もさほど大きな変化なくこなせるだろう。

 ディープインパクト産駒らしく、短期間で使い込むとよくないが、中期的な疲労にはディープインパクト産駒としては、比較的強い部類と思われる。

 2着はスローを逃げたアグネスドリーム。マンハッタンカフェ産駒は体力が豊富で、揉まれ弱いのが基本。

 同馬も揉まれにくくてパワーが要る条件が揃った、「函館の不良馬場で少頭数外枠」というレースで初勝利を収めているので、マンハッタンカフェ産駒の基本に忠実なタイプだ。

 今回も距離延長で、前走2番手から逃げる位置取りショックを仕掛けるという、揉まれ弱くパワーがある馬には最適な位置取りショックを仕掛け、展開にも恵まれての勝利だった。

「揉まれずに、単調な力勝負のレースになって、激走後ではない」という条件がベストになる。

 揉まれさえしなければマイルでも大丈夫だし、より揉まれにくいという意味で、長距離、特に非根幹距離での長距離は合うだろう。

 3着にも揉まれ弱くパワーがある種牡馬の代表であるゼンノロブロイ産駒のサトノロブロイが、スローの2番手から雪崩れ込んだ。

 この上位3頭を見れば、少頭数のスローだったこともあるが、「揉まれ弱くてパワーがある馬」にかなり有利なレースだったことが分かる。

 4着ピークトラムは、プラス20キロと明らかに太目の状態で、スローの上がり勝負になった為、キレ負けしたという内容だった。

 ただし、筋肉さえ付いてきたら、将来的にはこのくらいの馬体重でも大丈夫だろう。

 やや精神コントロールが難しいので、馬群に入れながら集中力を持続させる乗り方が好ましく、そういう意味で、矯めて馬群に入れていく競馬が望ましいかもしれない。それを実行しやすい、「短縮で差しに回る位置取りショック」が一番走りやすいか。

 距離は1800mがベターだ。

◆体力勝負の流れがベストのレーヴデトワール

 続いて日曜に行われた500万白菊賞(京都芝1600m)を見てみよう。

 勝ったのはゼンノロブロイ産駒のレーヴデトワール。前走2番手から競馬をして、短縮で一気に3角15番手からの追い込みに回るという、思い切った位置取りショックが嵌まった。

 距離を短くして差しに回るという、Mの教科書的なショック療法を施したのが勝因だが、先程も書いたようにゼンノロブロイ産駒は揉まれ弱いので、短縮の多頭数で無理に馬群に入らず、ほぼ最後方から競馬をする位置取りショックをしたのは、揉まれるリスクを減らす意味でも、余計に嵌まりやすいベストな作戦だった。

 ただ、これも何度か書いているが、ゼンノロブロイ産駒の場合は、牝馬の方が揉まれにくく、しぶとい走りが可能ではある(もちろんこれは性質の話で、一本調子に走る揉まれ弱い馬よりも、揉まれ強いタイプが強いということではない)。

 また、ゼンノロブロイ産駒は、牝馬の中では相対的にかなり体力アドバンテージがあるというのもセールスポイントだ。したがって、体力比べでバテバテの消耗戦の流れになったら有利になる。今回の勝因も、位置取りショックに加えて、案外速い流れになって、体力比べになったのも大きかった。

 もとより兄弟にレーヴディソールやアプレザンレーヴなどがいる体力豊富な良血だけに、体力勝負の流れにはうってつけである。特にばらけて揉まれない形での体力勝負がベストだ。

 そういうタイプだけに、馬体減りは自慢の体力消耗に繋がるので良くない傾向で、馬体減りは止めたい。

 また、自分より体力のあるタイプが出てくるレースでは、それ以上頑張るタイプでもないので、苦戦しやすい。

 2着のアルトゥーナも、ハーツクライ産駒で、小柄だが牝馬としてはかなり体力が豊富なタイプだ。

 お姉さんには京成杯AH勝ちのエクセラントカーヴがいる。

 距離は物理的なスタミナ面では、牝馬同士ならいくら延びても大丈夫だが、精神コントロールが比較的難しいので、集中力を持続させるには2000mくらいまでがベターだろう。延長のときは、ペースアップするとか、相手が強化するとか、内枠で壁を作るとかの、集中力を持続できる要素があった方が良い。

 3着にはキングカメハメハ産駒のダイワレジェンドが入った。関東からの輸送なのに4キロ増と、輸送を意識して太く仕上げたのに輸送減りしなかったぶん、キレ負けした。

 鮮度が高いうちは馬群を割れるのが特徴のキングカメハメハ産駒なので、もっとロス無く内を回った方が良いタイプだ。

 2000mくらいの内枠がベスト条件だろう。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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