スマートフォン版へ

先週行われた2歳オープンで連対した馬の分析

  • 2013年11月20日(水) 18時00分


◆馬場、展開、枠順などピタリと嵌ったイスラボニータ

 今後、時間が取れたときには、気になる2歳馬分析もしてみたいと思う。

 その第一弾として、今回は先週行われた2歳オープンで連対した馬を、そのレースぶりを回顧しながら、血統を中心にしてM3タイプなどで分析していきたいと思う。

 先週は土曜に東スポ杯2歳S、日曜に福島2歳Sが行われた。

 東スポ杯2歳Sで勝ったのはイスラボニータ。

 東スポ杯2歳Sは超高速馬場の緩い流れになったので、直線で内を突いた先行馬にかなり有利に流れ、そういうレースをした馬がそのまま1、2着した。

 イスラボニータは最内枠から先行して、そのまま1着。この日の馬場、展開にピタリと嵌まって恵まれたのは事実だ。

 ただ、それを可能にした集中力は評価したい。

 父フジキセキはC系種牡馬で、集中力が高く、馬体を併せて強い。また集中状態で強いのがC系なので、集中しているときはストレスがあっても連続好走が可能だ。さらには、強い相手にしぶといのがC系の特徴で、前走OP特別から、今回重賞へと相手が強化したのもプラス材料だった。

 レース後に公開している『予想着順』では、いちょうS後に、「内枠向きのしぶとさをみせる」と書いて、オプションも内枠向きの「内」を付けていた。実際、フジキセキ産駒は馬群に怯まないため、内枠向きで、15頭立ての最内枠は、まさにベスト条件だった。

 ただそれでも連続好走後で、今回中3週というタフなステップを考えると疲労があった。実際、内の先行絶対有利の馬場でなかったら、これだけ条件が揃っていても、3着くらいだったろう。

 今後だが、強い相手にしぶとく、内枠向きなのは変わらない。距離の融通性はあるが、ベストは1600mだ(今回のように内枠で体力ロスを抑えられる展開になれば、1800mがベスト距離ともいえるが)。

 パドックを見ると完成度が高かったので、3歳では完成度で2000m以上も十分こなすが、古馬になる頃にはやはりマイル路線がよい。

 2着のプレイアンドリアルはデュランダルにティンバーカントリー。パワーが豊富な血統構成で、S主導だ。パドックでも、パワー優先なのがよく出ていた。

 デュランダル産駒は今年度版の『大穴血統辞典』では、高速上がり指数54↑となっているように上がり勝負の適性が案外高い。ただ、同馬はS要素が強調される地方からのショックだったことと、本質的にもそれほど極端な上がり勝負向きではないので、超高速馬場だった為に緩い流れとはいえ、2ハロン目から全て12秒以下の平均して速いラップを踏んだ超高速レースを先行して、持久力勝負に持ち込んだのが良かった。

 基本溜めるような競馬向きではないので、今回のように一定して速いラップの超高速馬場や、あるいは重馬場など、特殊馬場を先行か捲りなどで目一杯走り、他馬の脱落を待つような競馬がベストになる。絶対的なパワーで若いうちは長い距離もこなすが、本質的には2000m以下がベターだろう。

 非根幹距離の方がパワーで押し切りやすいので、1800mは向いた。2000m以上だが、そういう意味で2200mも向く距離だ。

 この血統の欠点としては硬くなりやすさが挙げられる。

 デュランダルの疲労耐久指数は41Lとかなり低い。

 したがって、詰めて使ったり、激走後には反動が出る確率がグンと上がる。

 パワーで走るタイプだけに、馬体減りを起こしての激走後などは、特に体力低下が顕著になるので注意だ。

 現在はダート戦や地方のレースを使っていたショック効果で一時的に馬群を割れる状態にあるが、次第に密集した馬群が嫌いになってくる。

 その為、内枠なら重とか、逃げるとか、縦長の超高速馬場とか、そういう揉まれずに目一杯走れる条件でないと危うい。

 日曜の福島2歳Sを勝ったのはエルカミーノレアル。

 馬場が速い状態で、ペースもそれほどでもなかったので、内目の先行、好位組が圧倒的に有利な競馬になって、流れに乗っての勝利だった。

 その構造は、ほぼ東スポ杯2歳Sのイスラボニータと同じで、内枠で馬群を割れるC要素のあるキングカメハメハ産駒が、内有利の内枠で、ピタリと嵌まったというパターンだ。

 フジキセキ産駒との違いは、キングカメハメハ産駒は鮮度が下がったり強いストレス状態になると、内枠でタフな展開になった場合には逆に馬群を嫌がる点である。今回は未勝利勝ち後の格上げ戦の鮮度と、生涯鮮度の高さがあったので馬群を割れたわけだが。

 逆にフジキセキ産駒と比べてキングカメハメハ産駒の長所としては、体力が豊富な点が第一に挙げられる。したがって、短距離なら外を回って力でねじ伏せるような競馬も可能だ(同馬に限らず、長距離では相対的に体力は高くないので、鮮度要求率が上がるし、ねじ伏せるような競馬は向かなくなるのが、キングカメハメハ産駒の特徴になる)。

 ただ、短距離でも、ある程度ロス無く乗った方が結果は出やすい。

 血統構成的には、今回の1200mより1400mの方がよりベターになる。

 使い込むと良くなく、タイプ的にはS質が強いまとまり系だ。

 2着のファソンも、内目の好位組で、流れに嵌まった。バゴ産駒は体力とパワーが豊富なのが特徴。そのぶん、不器用でブレーキを掛けたりする競馬だと嫌がる。

 古馬になって活躍馬が減るのは、レースに起伏が出てくると対応出来ないケースが多いからだ。2走前の重馬場や、単調な高速馬場での前残りみたいな、揉まれずに、また我慢する必要のないレースが得意。

 同馬は母系にC要素が強いが、バゴ産駒なので、S要素が主導と考えるのが無難である。

 バゴ産駒が古馬になって尻つぼみになりやすい理由として、硬直化もあるので注意。硬くなりやすいのが特徴なので、使い詰めや、馬体減りは、例え2、3歳でもよくない。

※M3タイプ
S(闘争心)
闘争心を持つ馬。1本調子に走ろうとする性質。このタイプは気性をコントロールするために、短縮などのショック療法が有効。生涯に1度の絶頂期には、あらゆる条件を飛び越しで走ろうとするが、それを過ぎると極めて不安定になる。Sの由来は闘争を表す「Struggle」の頭文字から。

C(集中力)
集中力を持つ馬。集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質を持つ。レース間隔を詰めたり、体重を絞ったり、内枠、ハイペース、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。Cの由来は「Concentration」の頭文字から。

L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング