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格上げ戦の狙い方(3)

  • 2010年03月31日(水) 16時00分
 '09年アルゼンチン共和国杯、最後に2番人気のスマートギアを見よう。

 前走が京都の2400mを33.8秒という異常に速い上がりを駆使して追い込んで2着。これも危ない。距離延長で、しかも京都より坂のある東京の方がレース質がタフなのだ。タフさが増す分だけ、トウショウウェイヴ以上に、「追い込み馬の延長」という「逆ショック」の影響は強くなる。

 さらには2走前を見て欲しい。2走前が準OP。つまり前走の京都大賞典が格上げ戦で鮮度が高かったのだ。今回は鮮度の高さで喜んで追い込んで激走した後なので、鮮度ではなく、ストレスだけが重くのし掛かる。そのために、結局惨敗に終わることになったのだ。

 同馬の場合は、前走が別定GIIで57kg。それで2着なのに、今回がハンデGIIで1kg減の56kg。物理的には圧倒的に有利なはずだった。

 それでも12着に凡走した。流れが向かなかったとはいえ、流れだけが理由なら、追い込み馬でも3〜6着を独占した競馬なのだ。普通は展開が理由だったのなら4着前後になるはずだ。何も惨敗する理由はない。この12着という惨敗の意味こそ、ストレスそのものなのである。4、5着ではなく12着という必要以上の惨敗は、能力や展開などが理由ではなく、走ることに嫌気が差してレースを投げ出してしまったことを端的に表しているわけだ。


 このように、馬は「鮮度とストレス」、「前走との落差」の中で、大きく着順を変えてしまう生き物なのである。だからこそ、前走好走した馬を切って、今回のように万馬券を当てることが出来るわけだ。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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