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逃げられなかった逃げ馬(2)

  • 2010年04月21日(水) 11時00分
 ローレルゲレイロの場合は前走惨敗でストレスが少ない。エスポワールシチーは0.7秒差千切っているのでやはりストレスは少なく、前走は地方でリフレッシュもしている。オースミスパークの場合は今回が格上げ戦で鮮度抜群。

 つまり、同じようなメンバーや舞台で逃げて好走していたという、普通に見られるような逃げ馬は1頭もいないのだ。同じようなメンバー、条件で逃げて接戦勝ちや、惜しい2〜4着ぐらいの馬というのは普通は狙いたくなるが、Mの答えは、もちろんノーだ。

 逃げるという行為は気分が良すぎるために、次走で少しでも摩擦があると嫌がってしまうというわけである。

 これは人間でも同じだ。例えば今週の私の予想は、土曜には本命が全レースで連対して、マイラーズCや、万馬券などが当たり、あまり頭を使わなくても儲かる楽勝だった。その祭りの後に精神状態を保つのは大変なところに、日曜は運悪く面白いレースが少なかったことが重なり、儲けの3割近くを持って行かれてしまった(そのぶんは、月曜の福島で取り返したが)。野球で大量点を取った次の日に、大した投手でなくても、リズムの合わない投手と対戦したら全く点が取れないのも同じだ。あまりに楽逃げした後に、運悪く面白くないレースなどの状況に出会ってしまうと、心身リズムが澱んでしまいやすい。

 皐月賞に出ていたアリゼオもそんなパターンだ。前走を逃げの位置取りショックで気分良く快勝。その次走に相手強化では精神的にアンバランスになってしまう。しかも今回は逃げないで馬込みに入ってしまったわけだから、精神的に耐えられなかった。

 馬も人も、いやリズムが携わる現象の全てで、過去との落差の中でどう折り合いを付けるのか?ということが、結果を決めるのである。それがまさに世界の成り立ちそのものなのだ。だからそこには、否が応でも、Mの法則が存在してしまうのである。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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