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逃げられなかった逃げ馬(3)

  • 2010年04月28日(水) 17時00分
 先週まで、逃げ馬の精神的な特性を書いてきた。その中心的なテーマは、特に重賞などのトップクラスのレースにおいて、前走、逃げている馬は精神的に嫌がる可能性が高く、危ないということだった。

 ところが先週のフローラSアグネスワルツが逃げて4番人気で2着に粘った。

 これはどういうことだろう?

 実は私はこのレースは3連複を2点目で当てている。そこには、アグネスワルツが「精神的な問題を抱えていない逃げ馬」だという認識があったからに他ならない。その根拠は3つだ。

 1つめは休み明けであること。馬は前走との記憶の落差で走る。したがって、その記憶が遠い休み明けは、前走の位置取りを「連続性のあるショック」の類と考える必要はほとんどない(しかもMには、「休み明けは走る喜びを素直に表現できる逃げ、先行馬の方が有利」という理論もある)。

 2つめは格上げ戦であるということ。前回、例に挙げたオースミスパークと同じだ。競走ステージが変わるのだから、精神的には極めてフレッシュ。前走の精神的なわだかまりを考慮する必要はほとんどない。

 3つめは400mの大幅延長であること。これはMでは「逃げ馬の延長」と呼んで、評価されている。距離が延びればペースが緩みやすい。したがって、前走より精神的に楽に逃げられるのだ。

 以上のうち、1つめは9割方、2つめは8割方、3つめは5割方、前走逃げていたことを精神的に消す材料になりうるものであり、それが3つも揃っていたら、むしろ精神的なプラス材料の方が多い。


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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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