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短縮ショック(1)

  • 2010年05月26日(水) 18時00分
 今週から、Mの代名詞の1つとも言える短縮ショックについて、詳しく見ていこうと思う。

 短縮とは、前走より距離を短くするショック療法のことだ。

 馬は基本的に競馬を走るのが好きではない。無理矢理走らされているわけだから、それは当たり前の話だろう。このマイナスの思考をプラスに持っていくのが、ショック療法の数々になる。その中でも、短縮ショックが際だって有効なのは、馬が嫌いな走ることの物理的な距離と時間を、単純に短くすることによる部分が大きい。

 それ以外にも、精神コントロールの難しい馬を、前走より速い流れで走らせて、道中で余計なことを考える暇を奪ってしまうという効果もある。何が何だか分からないカーニバルの最中で、ゴール板を迎えさせようというわけだ。

 それ以外にも、様々な効果があるのだが、無論ショック療法なので副作用もある。

 また短縮ショックが効きやすい馬もいれば、嫌がる馬もいる。それは馬のタイプにもよるし、そのときの臨戦過程(それによる心身状態)によっても、同じ馬でも嫌がったり喜んだりする。

 例として、記憶に新しい今週の日曜日のレースを見てみよう。万馬券を2点目で当てた新潟3Rだ。


 ここで私が本命にしたのが、7番人気のアンティフリーズ。デビュー以来、全て5着以下に凡走しているので、人気薄なのは当然だろう。その中で一番惨敗したのが、2走前の2000m。1800mからの延長ショックだった。そして前走が、200mの短縮で5着と前進。集中力が持続しないタイプで、少なくとも現状は短縮の方が精神的に向いていることを示唆する内容だ。

 ただ前走は初出走の馬が4着に好走していて、それほどレベルは高くなかった。同馬が一番良い走りをしたのは、デビュー2戦目の未勝利戦の1400mの方だ。このときは6着だったのだが、メンバーは揃っていた。つまり適性が比較的高い距離は1400mになる。「短縮適性があって、かつ適性の高い距離への短縮」というのが、一番馬にとって気分良く走れて、短縮ショックが効きやすいのは想像に難くないだろう。

 しかし、これだけの材料では、この短縮で突如凡走続きの馬が勝ちきるというイメージはなかなか湧いてこない。

 実はこの馬には、今回の短縮に対する精神的な支援材料が、特別にいくつか用意されていたのだ。来週はその話をするので、それまでにどんな支援材料なのかを自分で考えてみると、グッと次週の理解が深まると思うので、是非トライしてみて頂きたい。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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