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馬体重と血統(2)

  • 2013年08月07日(水) 18時00分
 先週の馬体重の続き。

 ダイワメジャー産駒のプリュムは2キロ減の時点で好走確率は激減するが、同じ休み明けでもエアウィーバーの場合は10キロ減でも勝ったのだった。

 もちろん、休み明けの場合は増えているに越したことはないが、減ってきても大丈夫なケースもいくつかある。

 (1)まずは休み前が太すぎたケース。これは説明するまでもないだろう。特に休養前が冬場なら、太目だったことは多い。

 (2)2つめは、生命に流動性が残っているケース。生命のリズムがまだ未確定で動きがある状態の場合、馬体重の変動域は大きくなるので、休み明けの馬体減りも致命傷にはなりにくい。このケースで分かりやすいのは、キャリアの浅い馬だろう。まだ競走馬としてのリズムが定まっていない状態だから、馬体重も変動しやすい。他には競争条件を変えたり、去勢したり、転厩なども、ステージが変わるので、馬体重の多少の減少は許容範囲になる。

 (3)3つめはタイプだ。体力に頼って走るタイプは、馬体重が増えるにこしたことはない。特に逃げ、先行馬は体力を消費させながら走るので、増えた方が良い。また疲労に弱い、心身が消耗していくタイプは増えた方が良いし、あまり消耗しないタイプなら減っていても致命傷にはなりにくい。しぶとさを活かすC系は減っていても大丈夫なケースも多い。

 (4)最後は固有の馬体重だ。当たり前のことだが、500キロを超える馬の10キロ減と、400キロ近い馬の10キロ減では、その比重が違ってしまう。ただ、この最終項目は400キロくらいの極小の馬や、550キロくらいの巨漢馬を除けば、それほど重要ではない。よく「500キロ近くあるので、2キロくらいはたいした問題ではない」という話を聞くが、これは間違いだ。あくまで馬体重は前走とのベクトルで評価されるべきであり、絶対値はその次だ。

 エアウィーバーの場合は、(1)については、前走で8キロ増えているので、2走前に勝ったときと比べれば2キロ減でしかない。休み明けなのでもちろんプラス要素にはならないが、前走が少なくとも細い状態ではなかったわけだ。

 (2)については、生涯6戦しかしていないので、生命の流動性が高いと考えられる。さらには3〜6走前を地方で競馬している。これはステージの変化による、流動性の確保になる。ある程度の増減は許容しやすい状態にある。

 (3)に関しては、逃げ、先行のパワー型である点でマイナス。

 (4)は500キロ前後あるので、過信は出来ないが、ある程度増減に対する対応力はある。

 エアウィーバーは4項目中3項目をクリアしていたのだ。これがプリュムだと、前走8キロ減で(1)は完全に引っ掛かる。13戦消化して、ステージ変化もないので(2)もいまいち。(3)のタイプは、先行のパワー型に加えて、疲れやすいダイワメジャー産駒。ダブルでアウト。(4)の絶対馬体重も430キロ台と小柄できつい。

 以上、4項目全てでアウトなので、2キロ減でも、馬体重発表前に比べて、連対確率はだいたい単純計算で2の4乗分の1、つまり16分の1、甘く見積もっても10分の1くらいになったと考えるのが、極めて妥当な判断になる。

 今週の重賞も、馬体重が意味深いレースだった。レパードSでは重賞で珍しく1番人気インカンテーションを本命にしたのだが、前走6キロ増の馬が、中2週の短い間隔でまた8キロ増。
 これはM的な前走からの推移では、危ないプラス体重だ。普通の馬なら、馬体重発表時点で切り捨てでも良いだろう。

 ただ、同馬の場合はまだ10戦しかしてなく、その間に新馬、未勝利、500万、1000万、OPと、違うステージを少しずつ消化し、芝3戦も含まれている。ステージの流動性が高い。またダートの先行馬とパワー型なので、増えるぶんの対応力は高い。さらにはデビュー戦と比べると6キロしか違わないし、小型馬でもないので、絶対的馬体重からしても、それほど重要な問題ではない。

 結論としては、馬体重発表で、だいたい好走確率が20%くらい減ったと考えるのが妥当だろう。流動性が生命の高揚という良い方に向かっていれば勝つし、悪い方なら負けるというレベルだ。

 逆に3番人気ジェベルムーサの6キロ減は、好走不能に近い発表馬体重だった。絶対的馬体重では550キロを超える巨漢だが、他の項目に相当危ないところがあったのだ。

 つづく

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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