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レッツゴードンキ、クイーンズリング、ニホンピロアワーズなど2重賞の調教分析

  • 2015年05月20日(水) 18時00分


今日は濃霧のため朝一番は坂路馬場のモニターに。その分、オークス出走馬の坂路追い切りを見ることができました

 20日。起きてから外を見ると、濃霧が発生。私の自宅はトレセンのすぐそばにありますが、家の近くよりもトレセン内の方が霧が濃くなることが多いので、恐る恐る門をくぐると、やっぱりめちゃくちゃ濃いじゃないですか、霧が。

 私が調教を見ている場所から、朝一番に撮影した画像。向正面なんて、見えたものではありません。もちろん、1コーナーも4コーナーも見えません。いつもなら、朝一番はCコースの追い切りを中心に見ていくのですが、諦めて、坂路馬場のモニターに切り替えました。その分、オークス出走予定馬の坂路追い切りを見れたから、ヨシとしておきましょうか。

濃い霧が発生した今日の栗東トレセン

濃い霧が発生した今日の栗東トレセン



【オークス/レッツゴードンキ】

 桜花賞の最終追い切りは坂路馬場で併せ馬の先着。これまで最終追い切りは単走がほとんどだったので、これがどのように影響するかと思いましたが、結果は新馬以来の1着。実は新馬戦も最終追い切りは併せ先着だったので、勝ちパターンの追い切りという意味では、併せ先着は必須かも知れません。

 陣営がそれを知って、最終追い切りを併せ馬にしたかどうかは定かではありません。しかし、同厩舎の馬を追走して、きっちり先着した内容は最大級の評価をすべきでしょう。なにより、1週前追い切りの時点でも追い切り内容としては文句ないだけに、ケチをつけるとすれば、オークスというレースに対する調教適性だけ。この馬自身の調子に関しては、何の不安もないといってよいでしょう。

レッツゴードンキ(5月19日撮影)

レッツゴードンキ(5月19日撮影)



【オークス/クルミナル】

 桜花賞後は一旦放牧に出されて、栗東へ帰厩したのが5月5日。大舞台を前にして、栗東での追い切りが少なくなる点を心配していましたが、15-15の時計を含めると、十分すぎるくらいの追い切り本数を消化。この根底には「本当に大人になってきた」と須貝尚介調教師が語る、精神面の成長があるからでしょう。

 最終追い切りは坂路馬場で池添謙一騎手が跨って単走。ラスト1F12.1秒は自己ベストですが、これを馬なりでマークするあたり、道中の走りでいかに脚がたまっているか分かります。もちろんレースでの脚のたまり方に直結するか断言はできませんが、これだけ切れのある走りをできれば、十分にチャンスがあるのは間違いありません。

クルミナル(5月12日撮影)

クルミナル(5月12日撮影)



【オークス/コンテッサトゥーレ】

 前走後、グリーンウッドに放牧へ出て、栗東へ帰厩したのが4月30日。うまくリフレッシュして、5月3日から坂路で時計を出すという、順調なスケジュールでここまでを仕上げてきました。1週前追い切りとなる、5月14日にレッドアルヴィスを追走して先着する、4F51.3秒と速い時計の負荷をかけてきました。

 これが実質的な追い切りで、20日は非常に時計の遅い内容。安田隆行調教師は「4F55秒より速くならないように指示していました」ということなので、4F57.0秒は想定の範囲内かも知れません。確かに前走の最終追い切りが4F55.8秒だったことを考えると、今回の時計が極端に遅いわけでもなく。積極的に評価はできませんが、この馬自身としてはベターといってよい範囲内での追い切りだったかも知れません。

コンテッサトゥーレ(5月19日撮影)

コンテッサトゥーレ(5月19日撮影)



【オークス/クイーンズリング】

 過去4戦、様々な追い切り場所のパターンで仕上げられていますが、1週前追い切りをCコースでM.デムーロ騎手が跨って、併せ馬で先着するというのは、フィリーズRと同じ。それだけに、最終追い切りは坂路馬場で単走ではないかというのが、個人的な仕上げの読みでした。

 実際、その通りの内容。違うのは、ラスト1Fが最速ラップではなく、3F目と4F目が同じ12.5秒。違いはこれくらいのもので、全体時計などもほぼ同じ。あのレース内容を考えると、今回の調教内容はベストだといってもよいでしょう。個人的にはラスト1Fが最速か否かが最も重要だったので、最大の評価はできないまでも、まず上位争いできると見ています。

クイーンズリング(5月19日撮影)

クイーンズリング(5月19日撮影)



【平安S/ニホンピロアワーズ】

 2013年の同レース覇者であり、2012年のJCダート優勝馬。ダートの頂点を極めた馬ではありますが、近走成績は全く冴えないと表現してもよいでしょう。特に東海Sの負けはハナに行きながらも早々に後続に捕まるレース。もう、年齢的なことから見限ってしまった方もいるのでは。

 ただ、前走の後、ひと息入れて、この中間の動きは以前のアワーズに戻ってきたと思っています。特に最終追い切りは酒井学騎手が跨って、手応えよくラスト1Fを伸ばす形。58キロなど、やっぱり手を出しにくい状況であることは間違いありませんが、今回は勝っても不思議ない、そのくらいの状態にあるというのが、最終追い切りからの見立てです。

ニホンピロアワーズ(5月20日撮影)

ニホンピロアワーズ(5月20日撮影)



◆次走要注意

・5/16 東京 京王杯SC【サトノルパン】(3人/6着)

 C.ルメール騎手との初コンビ。中間の追い切りでは馬が引っ掛かる動きを見せていると思っていましたが、あのスローペースでもきっちり馬を御していた鞍上に驚き。
 前が塞がったことで、差し遅れましたが、むちゃくちゃ狭いスペースを割って出て、最後の末脚は見どころ十分。今回は追い切り本数も少なかっただけに、安田記念はきっちり併用調教に仕上げることができれば、あっさりGI制覇もあるでしょう。

[メモ登録用コメント] [安田記念]追い切り本数標準以上で併用系統なら勝ち負け

・5/17 東京 青竜S【ノボバカラ】(4人/4着)

 これまでの勝ち鞍はダート1600mでしたが、オープンに入るとこの距離は1F長い。そんな印象が残るレース結果でした。
 今回が坂路単一調教だったので、特にこの結果になったかも知れません。ただ、短い距離ならオープンでも十分に通用するはず。

[メモ登録用コメント] [ダート1400m以下]最終追い切り坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・烏丸S【カノン】
 思えば、昨年のパールSの後、マーメイドSで狙いたいと思った1頭。結果は8着でしたから、まだまだ力不足だったのでしょう。
 20日のCコースでの動きは前走の勝利の勢いを感じさせるもの。思った以上に速い時計が出ていましたし、今の充実ぶりなら十分にチャンスです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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