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マイネルクロップが叩き合いを制し人馬ともに重賞初制覇/佐賀記念・佐賀

  • 2015年02月11日(水) 18時00分


◆ソリタリーキングの動きを見て、一気にトップギアに入れた丹内騎手の好判断

 実績的にやはり中央馬に人気が集中し、5頭のうち4頭が単勝3〜5倍台と集中。中央馬でもっとも人気がなかったランフォルセで10.0倍。対して地方勢は、中央1000万下から佐賀に転入して2、1、1着というプルーフポジティブの単勝が30.4倍で、それ以外はすべて万馬券。地方で行われるダート交流重賞で、このように実力差がはっきりしている場合、レースでも中央勢が前に固まって、地方馬は前半から離れての追走となって早々と勝負あったということもめずらしくないが、今回はそうはならなかった。

 2コーナーポケットからのスタートで、ダノンカモンが行く気を見せたが、地方馬では唯一期待をかけられたプルーフポジティブが譲らず3コーナー過ぎまで併走。4コーナーを回るところのコーナーワークでダノンカモンが単独先頭となったが、その後もプルーフポジティブはピタリと2番手。佐賀では断然のリーディング、山口勲騎手の意地もあったのかもしれない。

 ちなみにプルーフポジティブは12月27日に同じ2000mの宝満山賞を逃げ切っているのだが、このときのラップが、最初の700m通過が47秒6、1200m通過が1分21秒2というもの(佐賀競馬場は1周1100mで200mおきにハロン棒が立っているので、画面からでは前半は200mごとのラップがとれない)。対して今回の佐賀記念は、逃げたのはダノンカモンだが、プルーフポジティブもクビから半馬身ほどの差で追走していたのでほとんど逃げていたと考えてよく、そのペースは700m通過が45秒6、1200m通過が1分18秒0というもの。さすがにこれはプルーフポジティブには厳しいもので、3コーナー過ぎで後退。結果9着に沈み、宝満山賞の勝ちタイム(2分11秒6)よりかなり遅いタイム(2分14秒0)でのゴールとなった。

 ただこのペースは、逃げたダノンカモンにとっても厳しいものだったに違いない。ダノンカモンから2馬身ほどの差で3番手の内を追走していたマイネルクロップ、さらにうしろの5番手を追走していたソリタリーキングが仕掛けてくるとダノンカモンは抵抗できず、3コーナーであっさりと交わされてしまった。逆を言えば、控えての追走となった2頭には絶好の展開となった。3コーナー過ぎから2頭が馬体を併せ、直線でもびっしり叩き合い、ゴール前100mのあたりではソリタリーキングが前に出たかという場面もあったが、内でしぶとく差し返したマイネルクロップがハナ差での勝利となった。

 丹内祐次騎手はこれがデビュー12年目での重賞初制覇だそうだが、向正面で先に仕掛けてきたソリタリーキングを交わさせなかったところが、勝利のひとつのポイントとなった。うしろから仕掛けてくる馬は一気にまくりきってしまえば強いが、逆に内にいる馬が相手をまくりきらせなければ有利になる。ソリタリーキングの動きを見て、一気にトップギアに入れた丹内騎手の好判断といえるだろう。マイネルクロップにとっても重賞初制覇で、ここで賞金を稼いだことで、今後地方のダートグレードに出走しやすくなり、それを考えると今後に向けて大きなハナ差だった。

 ソリタリーキングは、昨年はランフォルセに半馬身差で2着だったが、今年はハナ差で2着。予想で「ダートグレードなら安定して上位をキープ」と書いて本命にしたが、勝てなかったとはいえ今回も崩れることはなかった。

 ダノンカモンはソリタリーキングから3馬身差がついての3着。仮にプルーフポジティブに突かれることがなく、もう少しペースを落として逃げられていれば、勝つか1、2着馬と接戦になったかもしれない。そういう意味では、実力差があるからと最初からレースを諦めるのではなく、果敢に勝負を挑んだプルーフポジティブの山口勲騎手がレースを演出したと言ってもいいかもしれない。

 リキサンステルスがダノンカモンから5馬身離されての4着。昨年の覇者ランフォルセは勝ち馬と同じような位置を追走していたものの、ペースが上がったところからついていけず、さらに7馬身差がついての5着。これで昨年のこのレースを勝って以降6戦連続して4着以下で、勝ち馬からはいずれも1秒以上の差。さすがに9歳という年齢的なことは否めない。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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