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「健康で乗れる事が馬を勝利に持っていける」藤岡康太騎手にインタビュー

  • 2015年07月14日(火) 18時00分
競馬の職人

藤岡康太騎手



藤岡康太騎手「(父や兄とは)普段はあまり競馬の話はしませんが、いざ話し始めると熱くなりますよ」

 夏競馬真っ盛りの中うれしいニュースがここ2、3日に登場しています。キズナがこの秋は国内で3戦出走し、来年には凱旋門賞へ再挑戦したいとオーナーが意欲を燃やしています。早くも秋の走りっぷりが楽しみになってきましたね。

 暑い夏競馬の中、日本最大の競走馬のセリ市、セレクトセールが行われています。

 セレクトセールとは98年に始まった日本最大の競走馬のセリ市です。今真っ最中のバーゲンとはちょっと違うんですよね。サラブレッドを舞台に登場させ1頭ずつの品評会。サラブレッドのファッションショーみたいですかね。

 その馬たちを見てオーナーをはじめ調教師・騎手も参加し極め付けを見つけていくんですね。ここからダービー馬が出てくるんですよ。そう思うとドキドキしますよね。すごい醍醐味です。

 なぜか高級車フェラーリの展示ブースもあるのが面白い。それだけ高級な馬が競り落とされていくってことなんですよね。

 最高落札額はいくらくらいだと思いますか? 06年当歳セリで6億円の高値で落札されたトゥザヴィクトリーの06でしたがデビューできませんでした。めちゃ残念でしたよね。

 ディープインパクトやジャスタウェイ・アドマイヤムーンなどもこのセリで落札されたんですよ。さて今年はどんな馬がスターホースになっていくんでしょうね。デムーロ・ルメール両騎手も駆けつけてここで取り引きされた馬で凱旋門賞へ行きたいと言っていたそうです。トラックマンに教えてもらった話なので1度は行ってみたいなーと思っています。馬という宝石がキラキラ輝く2日間、こんな競馬の楽しみ方も面白いでしょうね。

 皆さんも自分なりの競馬の楽しみ方をいろいろチャレンジしてみてください。

 さて今週は、前回に続き藤岡厩舎の3本の矢の2本目、藤岡康太騎手です。

常石 今日はよろしくお願いします。僕は藤岡康太騎手が藤岡厩舎の強い絆の3本の矢のうち2本目、一番中心を担っていると思いますが、いかがでしょうか。

藤岡康 いえいえ、僕は藤岡厩舎所属ではなくフリーなので乗せてくださる厩舎はどこの厩舎でも大切にしています。父が調教師で兄が騎手だった環境に育ったということですね。

常石 それってすごい環境ですね。騎手になるべくしてなった環境ですね。僕が現役だった頃、犬を散歩していたら中学生時代の康太君とよく会いましたね。佑介騎手が競馬学校へ行っていた頃ですね。かわいかったですよね(笑)。それにとっても親切で優しかったのを覚えています。今もそのまんまですね。

藤岡康 恥ずかしいですね。父や兄の刺激は大きかったけど家族が集まるとそれぞれの厩舎への思いや馬も違ってくるので普段はあまり競馬の話はしませんが、いざ話し始めると熱くなりますよ。そんな時は父は調教師で兄は先輩騎手です。失敗したときは兄がよく慰めてくれます。

競馬の職人

兄・藤岡佑介騎手、父・藤岡健一調教師(一番右)らと会話をする藤岡康太騎手



常石 いよいよ夏競馬が始まってきますが、5月30日と31日は2日で4勝と実力発揮されていましたね。その中でも白藤賞で逃げ切り勝ちを収めたダノンシーザーはまだ3歳なのでこれからが楽しみですよね。

藤岡康 白藤賞ではしっかり仕上がっていたので勝ってくれましたが、まだまだこれからの馬ですね。秋が楽しみです。

常石 他に夏を越して秋に向けて楽しみな馬はいますか?

藤岡康 マーメイドSを勝ったシャトーブランシュなんか面白いと思います。マーメイドSでは他にも有力馬がいたので人気はありませんでしたが、それらの馬をみながら後方で脚をためられました。馬群に入ってもへこたれていなかったですし、外へ出したら一気に加速して鋭い脚を見せてくれました。賞金も加算できたので秋の活躍が楽しみです。

常石 マーメイドSは3勝目なんですよね。

藤岡康 はい。去年ディアデラマドレと2010年、ブライティアパルスで勝っています。マイぺースで逃げるセラフィックロンプを差し切って勝ちました。スタートはいい馬でしたが、気性が難しく取りこぼしも多い馬でした。2010年には怪我ではなく大きな病気をしまして、肺に穴が開き肺の外に空気がたまる病気でした。原因とかはよくわからないですけれど、とにかく痛かったんです。その病気から復帰して2週間後のマーメイドSだったので勝った時はうれしかったです。ブライティアパルスにとってはこれが最初で最後の重賞勝ちで繁殖入りしました。この馬には縁があって僕を育ててくれた馬ですからブライティアパルスの子供にも乗ってみたいです。

 マーメイドSを勝つ前にはブライティアパルスに騎乗して初めてGI(秋華賞)にも挑戦しました。結果は勝ち馬からは0.2秒差の4着、13番人気と人気はまったくなかったんですよ。手ごたえは十分あったけどちょっと力みすぎてしまって。僕がもう少しうまく乗っていれば連に絡むことができたのにと悔やまれるレースです。このときの経験が生きて09年にジョーカプチーノでNHKマイルCを勝つことが出来たと思います。もちろんですがこのGI初勝利も大きかったですね。

常石 もう体は大丈夫ですか?

藤岡康 健康で乗れるのが馬を勝利に持っていけるんだと痛感しています。

常石 そうですよね。健康でないとせっかくのチャンスを逃がしてしまいますよね。康太騎手は積極的に乗っているように思いますが自分の中で決め手はありますか?

藤岡康 とくにありませんがチャンスは生かそうと思っています。兄にもアドバイスをもらっています。

競馬の職人

武豊騎手と藤岡康太騎手



常石 佑介騎手と騎乗についていろいろ話されるんですね。

藤岡康 企業秘密もいっぱいあるけどね(爆笑)。

常石 お互い向上心が高まっていきますよね。まだ26歳ですし、これからが一番面白い時だと思います。更なる活躍を楽しみにしています。最後にファンへのメッセージをお願いします。

藤岡康 ここで話できないこと山ほどありますよね、常石先輩。是非みなさんも競馬場へレースを見に来てライブで実感してください。競馬の魅力を感じてもらえると思います。夏競馬で北海道へ行くことが多いので夏休みは北海道に競馬を楽しみに来てください。待っています。

常石 僕も行きたいですね。競馬だけではなく夜の街も案内してくれますか?

藤岡康 残念ですが僕飲めないんです。

常石 そうかじゃあ仕方ないなー。一人でうろうろするか?

藤岡康 夜の町は危ないですから競馬場の中をうろうろしてください(笑)。面白いものが発見できますよ。皆さんも楽しんでください。

常石 ありがとうございました、活躍期待しています。

***

 とっても気さくで弟と話しているような感覚で取材させていただきました。積極的な騎乗は今後も見逃せません。もっと大きく育ってくれるでしょう。つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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