やはり皐月賞を勝てなかった1月生まれの3強 誕生月が2冠へ追い風/吉田竜作マル秘週報
◆牝馬、牡馬クラシック2冠目はどのような情勢で迎えることになるのだろうか?
POGと競馬の予想は一般的には別物と考えられる。もちろん、未来を予測する点ではどちらも同じと言えなくはないが、成長力を予測するスパンが決定的に違うのだから当たり前の話。ただし、POG的な発想やデータが馬券に通用するケースも時にはある。それがPOGの“大目標”でもあるクラシックにおけるものとなれば、興味を持っていただけようか。
以前から当コラムで何度か取り上げてきたのが馬の生まれ月の重要性。セリなどでは成長の早い1月生まれが好まれ、実際に高値をつけるケースが多いのだが、クラシックではむしろ1月生まれが苦戦してきた…というのが昨年までの流れ。
桜花賞を例に取ると、「1月生まれは勝てない」完全無欠のデータが存在していた(データは1986年以降)。しかし、今年は1月17日生まれのジュエラーが勝利。個人的には◎を打ちながら、馬券で大きく踏み込めなかったのは、この完全なるデータが最後まで気になったがためだ。
ただし、このデータは皐月賞では生き続けている。戦前、“3強”と言われたサトノダイヤモンド、マカヒキ、リオンディーズはいずれも1月生まれ。「これだけ1月生まれがいるのだから、全部飛ぶことはないにしても、どれかは飛ぶだろうな」と考えていたら、3月24日生まれのディーマジェスティが勝ち、3強ラインに風穴をあけた。
これで86年から今年まで1月生まれの皐月賞成績は[0-1-1-16]。2、3着は今年のマカヒキ、サトノダイヤモンドによるものだから、1月生まれの馬はよほど飛び抜けた能力でもない限り、苦戦する傾向がこれからも続くのではないか。
ちなみに正反対の遅生まれにあたる6月生まれの皐月賞成績は[2-0-0-10]。クラシックにおいて、馬券で迷いに迷った時は1月生まれではなく、6月生まれを買った方が、むしろ確率は高いくらいと覚えておいて損はないかも。
「ではオークスとダービーはどうなんだ?」って声もあろうかと思い、調査を続けると、オークスにおける1月生まれの成績は[2-2-3-14]となかなかの健闘を見せているのに対し、ダービーでの1月生まれの成績は[0-1-1-7](同じく86年以降のデータ)。これは1月生まれのジュエラーと、1月生まれではないディーマジェスティの2冠を後押しするもの?
どちらも高い支持を集めるにしても、トライアルの勝ち馬や、桜花賞、皐月賞からの巻き返しを誓う組も、それなりの支持を集めることが予想される。馬券的妙味が十分あると判断できれば、記者は素直にこの2頭から入るつもりでいるのだが、牝馬、牡馬クラシック2冠目はどのような情勢で迎えることになるのだろうか?
さて「ザッツPOG」の発売が刻一刻と迫っている時期だけに、今週も2歳馬の話題を。
中竹厩舎にも2歳馬が新たに入厩してきた。そのうちの1頭はディープインパクト産駒のカデナ(牡=母フレンチリヴィエラ)。「線は細いが、いいキャンターをする。小柄でいかにもディープ産駒という感じ」とは白倉助手。ちなみにこの馬は3月30日生まれ。少々気は早いが、クラシック制覇へ向けて何も支障なしだ。
もう1頭はホープフルスター(牡=父ゼンノロブロイ、母ストラテジー)。こちらは3歳春までに芙蓉S、葵Sとオープン2勝のジャストドゥイングの全弟にあたる。
「兄ほど大きくはないし、常歩(なみあし)も硬いところがある。でもキャンターにいくといいんだよね。こういう馬が走ってくるのでは」(同)となかなかの評価。ジャストドゥイングだけでなく、半兄オールパーパスも早い時期に勝ち上がった。POGの即戦力候補として覚えておいてほしい。