日経新春杯 ダービーフィズと浜中の相性は…/トレセン発秘話
◆仕切り直しの一戦
「それにしても、上がったり下がったり。まるでジェットコースターのような1週間だったねぇ」
ぶっとい指でジグザグラインを描きながら、年明けの美浦でダービーフィズの吉田芳行キュウ務員が暮れのグランプリ、有馬記念(14着)を振り返った。
賞金ボーダーぎりぎりの16番目で出走可能と分かったのは2週前の登録時点。しかし賞金下位のトーセンレーヴがディセンバーSを勝利し、賞金ライン上の逆転を知らされたのが当該週。とはいえ、これも歓喜と落胆のループの序章にすぎなかった。
「一転、ショウナンパンドラの回避で出られると喜んだのが水曜。鞍上・田辺の乗り替わりにあぜんとしたのが前日の土曜。そして最後の最後、日曜があの競馬だからねぇ。浮き沈みが激しすぎたよ」
まさに塞翁が馬の1週間だが、ヨッチャンこと吉田キュウ務員が有馬記念を「あの競馬」と言いたくなる気持ち…それも分からないではない。
“行ったもん勝ち”の先行ペースで最初のコーナーを12番目で通過。結果的にその時点で勝負は決していたのだが、ヨッチャンが絶望したのはそれよりはるか前、スタートの瞬間だったという。
「鞍上が気を付けないと一瞬で気が抜けてしまうタイプ。だからこそ狙った位置が取れるまでは、馬を怒らせてでも進まないとダメなんだ。テン乗り(大野)ではサジ加減が難しかったんだろうが、見る側にすればスタート直後にダメと分かった。いや〜、この落胆が一番早かったわ(笑い)」
つまり今週のGII日経新春杯出走は仕切り直しの一戦。とはいえGIから中2週の遠征競馬、さらには新コンビ・浜中との相性も気になるところだが…。
「元気いっぱいというより前走時から伸び縮みのあるフォームに変わり、走りはジャパンC(9着)より断然良くなってる。十分勝負できる状態だよ。だから、あとはホントに競馬の運びだけ。まあ確かに再度のテン乗りだけど、一発回答の天皇賞(ラブリーデイ)を見れば浜中は馬をつかむのにたけたジョッキー。過去のレースを見比べてもらえば、操縦のコツもつかめると思うんだけどなぁ」
思案顔のヨッチャンだが、昨秋は堂々GI戦線を歩んだ馬。再度乱気流に巻き込まれようとも、ここは格の違いを見せねばならぬ一番である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)